ついにエオルゼアでの冒険が幕を開けた―「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」発売記念イベントの模様をお届け

スクウェア・エニックスは8月27日、東京・渋谷ヒカリエにて「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」の発売記念イベントを開催した。第一部はメディア向け、第二部はユーザー向けとなっており、どちらも取材してきたので、そのレポートをお届けする。

本イベントは、発売記念の名の通り、8月27日にPS3/Windows用ソフト「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」が発売を迎えたことを記念して行われたもの。会場ではニコニコ超会議にも出演していたララフェルとルガディンのコスプレをした方が出迎えてくれたほか、パネルやグッズの展示、推奨PCでの試遊コーナーなどが設けられていた。

また、イベント会場となったのは渋谷ヒカリエ9階の「Hikarie Hall B」という場所だが、ヒカリエ内の地下3階では、ゲームの世界を疑似体験できる「エオルゼアミラー(EORZEA MIRROR)も用意されていた。エオルゼア一色というと言い過ぎかもしれないが、駅やヒカリエなど、渋谷の主だったところで「新生FFXIV」の広告が広く展開されていたので、渋谷を訪れた人の多くが目にしたことだろう。

関係者たちが発売を祝ったイベント第一部

松田洋祐氏
松田洋祐氏

イベント第一部では、まずスクウェア・エニックス代表取締役社長の松田洋祐氏が登壇し、スタートの挨拶を行った。松田氏は、2010年以来、「ファイナルファンタジーXIV(旧FFXIV)」をオンラインゲームとしての「ファイナルファンタジー」として再生させるべく会社一丸となって取り組んできたこともあり、「『新生FFXIV』をお届けできる日が来て、感慨深いものがあります」とコメント。

また、「ファイナルファンタジー」シリーズ初のオンラインゲームである「ファイナルファンタジーXI」は10年以上の長期にわたって運営がされているが、松田氏はβテストでの手応えなどを踏まえ、「新生FFXIV」も同じように大きく育ってくれることを確信していると自信を見せていた。今後はPS4への展開なども計画されているが、ついに発売(正式サービス)を迎えたことを受けて「生まれ変わったエオルゼアをプレイしていただき、新しい世界観を楽しんでください」と述べた。

河野弘氏
河野弘氏

続いては、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア プレジデントの河野弘氏が挨拶を行った。河野氏は、「FFXIV」の全権を引き継いだ吉田直樹氏から「お客様が納得いくものに作り直す」と説明を受けたというエピソードを披露。そこで開発チームの熱意を感じ、「私たちもこのプロジェクトを応援しようと、社内で話し合ったことを覚えています」と当時を振り返った。

その開発チームの努力が報われたかのように、すでに開始されているアーリーアクセスでは多数のアクセスがあり、PlayStation Storeでのダウンロード版予約販売も過去最高の予約実績が出ているとのこと。「『FF』が持つコンテンツとしてのパワーと、開発に当たったチームの熱意は大変なものがあった」と、開発チームへの敬意を表した。

2014年にはPS4版のリリースが予定されていることについては、「より高品質な画面、PS Vitaを使ったリモートプレイなどが体験してもらえるのではないかと思っています」と話す。PS3版の発売日にPS4版の話をすると“PS4待ち”にならないか心配もしていたというが、予約実績などの話を伺う分には杞憂となりそうだ。

PS3版でプレイしたデータはPS4版へ引き継げるため、河野氏は「思う存分今日から遊んでいただき、PS4へ引き継いでもらうことがたっての希望です。『新生FFXIV』が日本を代表するタイトルとなるよう、全面的にバックアップさせていただきます」と述べた。河野氏からは最後に、9月2日よりオンエア予定のTVCMの紹介も行われた。

この後は、日本マイクロソフト コンシューマ&パートナーグループ OEM統括本部 業務執行役員の金古毅氏が登壇。金古氏は、ニコニコ超会議への共同出展で手ごたえを感じており、「新生FFXIV」に期待しているとコメント。パートナー会社と協力して「新生FFXIV」の推奨製品を多数展開しているが、今後もより多く「新生FFXIV」の推奨製品を出していきたいとした。

次いでインテル取締役副社長の宗像義恵氏が登壇した。宗像氏は、CPUのパフォーマンス向上によるユーザーの向上に取り組んでいるほか、「ファイナルファンタジー」の世界をたくさんの人が体験できるよう、スクウェア・エニックスとさまざまな技術協議を行ってきたという。

その結果として、「新生FFXIV」が「インテル Core マイクロプロセッサー・ファミリー」に対応し、ウルトラブックでもゲームが楽しめる環境を提供することが可能になったとのこと。この最適化に際しては、インテル本社のラボが協力して開発にあたったと話していた。

金古毅氏 宗像義恵氏
吉田直樹氏
吉田直樹氏

第一部の最後には、本作のプロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏が登壇。吉田氏は「多くの方に支援していただき、ここまで来れました」と話し始め、「新生FFXIV」は「ファイナルファンタジー」の正当な最新作であり、オンライン専用のMMORPGという野心的なジャンルのゲームであること、オンライン専用ながらも「ファイナルファンタジー」らしさを失わず、世界最高峰のグラフィックスとストーリー、そして最高のゲーム体験を用意していると、「新生FFXIV」のポイントをまとめた。

8月24日よりスタートしたアーリーアクセスでは、全世界40万人以上の人がプレイしているようで相次いでワールド(サーバー)の増設が行われたが、正式サービスが開始されたことで、さらにプレイヤー数が増えていくだろう。今後の展開については、PS4やDirectX11への対応、4Kテレビなど、各パートナーと協力して「新生FFXIV」を発展させていきたいと述べた。

吉田氏は「今日という日を迎えられた喜びを全身で感じています」と言いつつも、ここがゴールではなく通過点であると話す。「新生FFXIV」はオンラインゲームであり、ゲームは随時アップデートされていくため、プレイヤーと共に“ファイナルファンタジーのテーマパーク”を目指していきたいという。そして最後に「5年、10年、それ以上を目指して邁進していきますので、末永くよろしくお願いいたします」と述べ、イベントを締めくくった。

なお、会場ではすでに公開されているローンチトレーラーが一足先に上映された。まだ視聴していないという人は、ぜひチェックしてみてほしい。

第二部ユーザーイベント

抽選によって選ばれた約200名の一般来場者を迎え、普段はYoutube Liveで放送している「プロデューサーレター LIVE」の番外編が行われた。会場はほぼ満席で、当選者の参加率がかなり高いことが伺えた。

放送されなかった前説

二部の開始前には前説が行われた。「(プロデューサーレター LIVEで言う)テスト放送ですね」と言ってステージを進めるのは、コミュニティチームの室内俊夫氏と望月一善氏だ。

二人は、イベント中はフラッシュ撮影や音の出るものを控えてほしいなど、簡単な諸注意を「違反するともれなく怒りのBANです」と冗談を交えつつ、ファンにはお馴染みの言い回しで説明を行った。

さらに、登壇者を呼び込んだ時は拍手で盛り上げてほしいとのことから、練習で「新生FFXIV」プロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏の名前を呼ぶと、本当に吉田氏が姿を見せた。吉田氏が加わってから、どれくらい遠くから来た人がいるのか簡単なアンケートを取ると、西は広島や高知、山口など、北は岩手や宮城から来たという声が上がっていた。

(写真左から)室内俊夫氏、吉田直樹氏、望月一善氏

第二部本番がスタート

松田洋祐氏(右)
松田洋祐氏(右)

前説も盛り上がっていたのだが、本番はここから。まずはスクウェア・エニックス代表取締役社長の松田洋祐氏と、吉田氏から挨拶が行われた。松田氏は「『新生FFXIV』はお客様に支えていただき再生した稀有なタイトルです」と改めてユーザーに感謝を述べ、エオルゼアの世界を心行くまで楽しんでほしいとコメントした。

吉田氏は「長く喋っていると泣きそうなので、ご挨拶は最後に」と言うと、来場者のみならず、当日ニコニコ生放送とTwichで中継を見ていた人も含めて「今日、この記念すべき日を一緒に楽しんでいただければと思います」と短くまとめた。

また、真面目に挨拶する一方で、吉田氏は「正式からスタートダッシュするんですよね?」と松田氏に聞く場面も。すると松田氏は「e-STOREで予約しているので、レジコ(レジストレーションコード)を入れて参戦します」と、登壇者自身もゲームを楽しみにしている様子を見せるなど、賑やかな雰囲気で進行していった。

ここからは“直樹の部屋”と称して、「新生FFXIV」の開発に携わるコアメンバーを呼んでのトークが行われた。

開発のコアメンバーが登場した“直樹の部屋”

ゲームデザイン・バトル部門

まず最初に登場したのは、リードUIアーティストの皆川裕史氏と、リードゲームデザイナーの河本信昭氏の二人。ここからは招かれたゲストたちが、事前にユーザーから寄せられた質問に答える形で進行していった。

河本氏に「このイラストずるくないですか?」という吉田氏。本人は「可愛いですよね」と答えるやり取りが印象的だった。
皆川裕史氏(中央)と、河本信昭氏(右)

「FFIXV」を作り直すと聞いたとき、最初に思ったことはなんですか?

この質問に対して皆川氏は、「ぶっちゃけ大変なことになったなと思った」とコメント。大変と言っても2つの意味があるようで、ひとつは単純に作り直すことが大変だということ。そしてもうひとつが、「旧FFXIV」の失敗で失った信頼を絶対に取り戻さなくてはいけないという意味での大変さだ。新生するという話を聞いた際、サウンドディレクターの祖堅氏はガッツポーズをしたというが、吉田氏から最初にスケジュールを渡されたときはあまりの大変さに、頭を抱えたという。

特に苦しかった時期と、その時期を乗り越えた心境は?

これには吉田氏が回答。吉田氏がプロデューサー兼ディレクターに就任してから、裏で計画を進めつつ「旧FFXIV」のアップデートも行っていたのだが、テコ入れを始めた2011年6月頃が一番精神的に辛かったという。その理由というのも、新体制になって一番初めの大型パッチで行ったことが、パーティ人数を15人から8人に削減し、当時はケアルガを連発してもMPが枯渇しなかったという戦闘のバランスを調整したことだ。

MP管理などを考えつつバトルを楽しんでもらうようにするための第一歩だったのだが、ユーザーとしては慣れ親しんでいた環境がガラッと変わってしまったため、フォーラムでは「最初にやる大きなテコ入れがこれか」という意見が出る結果に。吉田氏は「あそこからが大激変のスタートなので、一番大変でした」と当時を振り返っていた。

あと3ヶ月あったら調整したかったところは?

これに対して河本氏は、「この数ヶ月、ずっと調整とバグ修正ばかりでした」と答える。ずっと調整の繰り返しだったため、3ヶ月もあるならむしろ新しいコンテンツを作りたいとのこと。しかし実際には、「プレイしてから分かるバグもありますし、まずは目先の問題に対応することが精いっぱいかなと思います」と話していた。

ちなみに河本氏は、「旧FFXIV」ではディレクターを務めていた。そのため、「旧FFXIV」をプレイしていた人にとっては、何かしら思うことがある人もいるだろう。そこで吉田氏は、「禊をしておきましょうか(笑)」と、河本氏が担当している業務について説明。

現在は、日々のレポートで上がってくるバグやプレイヤーからの意見の吸い上げを一手に引き受け、毎日、毎朝その内容を仕分けしているという。吉田氏いわく「社内でバグ大臣と呼ばれている」ぐらい、バグの修正などに力を入れているという。河本氏はとにかく運営が好きで、プレイヤーが楽しいと言って遊んでくれることが何よりも嬉しいというので、今後もエオルゼアの生活を裏から支えてくれるのだろう。

開発チームで最も異性に人気があるのは?同姓から人気があるのは?

真面目な質問から一転、おちゃらけた質問には、満場一致で皆川氏という結果になった。いわゆる女子会が行われると、チームの中で誰が…という話が出ることもあり、そこでは毎回ナンバーワンの座を持っていくのだとか。当の皆川氏は「なんでそういうキャラにされてるの?」とか「でもこの前(テストプレイ中に)ダンジョンで置き去りにされましたよ。会議があるのでと言って」など、ひとり納得のいかない様子を見せていたが、河本氏が「(男性でも)結局皆川さんだと思いますよ」とオチを持っていった。

テクニカル部門

最近、あまり表舞台に出ていないような気がしますが、お元気ですか?

橋本善久氏
橋本善久氏

続いて登場したテクニカルディレクターの橋本善久氏には、最初にこの質問が投げかけられた。「こう書かれると表舞台から下がったように見えますね(笑)。実際はそうではありませんが、元気にやっています」と答える橋本氏は、「新生FFXIV」の開発がピークであったり、CTOという立場であったりと、多忙であるためなかなかイベントなどで姿を見かける機会はないものの、裏からこっそりと頑張っているとのこと。

このテクニカル部門のコーナーでは、メインプログラマーを務めた春日秀之氏も呼ぶ予定だったようだ。しかし正式サービス開始初日ということもあり、番人のように現場で頑張っているため、出演は叶わなかった。ちなみに春日氏は、スクウェア・エニックスが移転した際、サーバートラブルなどですぐに呼び出されてもいいよう、会社の近くに引っ越すほど熱心に仕事に取り組んでおり、かなりの功労者であるという。

DirectX11に対応することで変わることを詳しく、分かりやすく教えてください。

テクニカル部門に相応しいこの質問に対しては、「パフォーマンスが上がるのでサクサクプレイできるようになると思いますし、シンプルに映像のクオリティも上がります」と返答。もう少し技術的な話になると、これまでライティングで使用していたディファードというシステムからフォワードプラスというものに変えられているため、ライトがたくさん置けたり、フォグも奥行きのあるものになる、といった変化が得られるようだ。

しかしながら、テクノロジー的に実現できるものでも「新生FFXIV」に必要なものがどれか、例えばプレイを快適にする部分と、グラフィックスのクオリティを上げる部分、どういったところをチョイスしていくかを決める必要があるという。

プログラマーは魔法使いだと表現されることもありますが、魔法を使わないと無理だと思った無茶振りエピソードを教えてください。

この質問では、「全て作り直そうと自分たちで決めたので無茶振りではないですが」と前置きしつつも、ソースコードから何まで作り直すのは相当な無茶だったと感じているようだ。

実際には無事に発売までこぎつけられたのだが、コンシューマでも遜色ないクオリティを出すために尽力したプログラマーたちの努力や、SCEの協力などがあってハードウェアの性能を限界まで引き出し、MMORPGとして最高のものができたと言えるところまで来たのは「客観的に見ても魔法が使われていたのではないかと思います」と話す。

さらに吉田氏が補足として、「PS3版の最後の最適化は、日を追うごとにパフォーマンスがよくなっていきました。春日があらゆるところの細かいところで効率化を進め、トータルではこれだけの成果が出ることを事前に伝えてくれて、本当にそれを達成してくれたので魔法を見ているようでした」と述べた。

デザイン・アート部門

ここからはアシスタントディレクターの高井浩氏と、リードデザイナーの鈴木健夫氏が招かれデザイン・アート部門の時間に。

(写真左から)高井浩氏、鈴木健夫氏

デザインにおいてこだわっていることや気を付けていることを教えてください。

これには鈴木氏が「一番気を付けたのは、ゲーム体験に連動してデザインしてほしいと言われたことです」と回答。カッコイイ装備品が欲しいとか、モーションも外連味があるものにしてほしいといった声に気を使って制作したという。

エフェクトにもコンセプトアートのようなものはあるのでしょうか?

今度は高井氏が回答。エフェクトにアート的なものは存在せず、基本的にはどういったモンスターがどんな行動をしてほしいかと言った、プランナーからの発注に応える形で制作するとのこと。プレイヤーキャラクターのアクションであれば、このクラスはこの武器を使うから…といった考えに基づき、見た目と合うように作られる。

エフェクトは資料がなく、「色はどうする。この攻撃なら渦を巻く感じにするか」といったように、見たことのないものばかり作るため、吉田氏は「一番の職人芸かもしれない」という。しかし高井氏によると、そこが一番意識の違いが出るところでもあるようだ。

身長がcmで表記されるようになりましたが、バストの数字表記はしないのでしょうか?

ここでもおちゃらけた質問が飛び出したが、これには鈴木氏が「見た目で選んでいただいた方がいいかなと思います」とコメント。というのも、身長をcmで表記した際も、プロジェクトマネージャーから「ミコッテは身長170㎝ないんだ…」と言われたらしく、知らないことまで知ってしまうよりは、想像して楽しむ方がいいという結論に。

***装備品を作るのはデザインからですか?それとも性能を決めるのが先ですか?
また、頑張ってデザインしたのに性能が低くて使えないといったことはありますか?

これには高井氏が「『新生FFXIV』はクラスやジョブのイメージがあるので、使用するレベル帯を明示してもらえれば、そこに合わせてデザインします」と答えた。また、頑張ったのに不遇な扱いになってしまうのは「新生FFXIV」に限らず、どのプロジェクトでも往々にしてあるという。逆に、装備品を作っている段階ではイベントシーンができていないこともあり、「このクラスクエストならこうできたのに!」といった悔しさも当然あるとのこと。

吉田Pに「メテオ落ちろ!」と何回くらい思っちゃいましたか?

この部門の最後にトンデモな質問が飛び出したが、高井氏は「第十八霊災ぐらいまではカウントしていました。それ以上は忙しくなって、ダラガブ!っていうぐらいでした(笑)」と笑いながら回答。それを受けて吉田氏は「じゃあ第三十霊災目指して無茶振りしていこうかな」というものの、司会進行の室内氏から「もう超えているかもしれないですね」とツッコミを入れられると、会場からは笑い声が上がった。

ちなみに高井氏は本職がVFX(ビジュアルエフェクツ)で、「新生FFXIV」のPVをほとんど一人で編集しているという。「第十八霊災までカウントしていた頃は開発で、カウントを止めたのは僕が編集でうるさいからだと思います(笑)」とは吉田氏の談。

シナリオ・クエスト部門

シナリオ・クエスト部門では、アシスタントディレクターの新納一哉氏と、メインシナリオライターの前廣和豊氏が登場した。

(写真左から)前廣和豊氏、新納一哉氏

ネタバレにならない程度で一押しのクエストは?

最初の質問には、新納氏が格闘士のクラスクエストがオススメだと回答。どうしてもおじいちゃん話をやりたかったようで、「無理を言って進めさせてもらいましたが、いい感じにまとまっています」とのこと。バトルやエフェクトも凝っているという。

アラミゴを奪還できるのでしょうか?

「直球じゃないですか(笑)」と答える吉田氏だが、まだアラミゴについて知らない人に説明も忘れなかった。「新生FFXIV」にはエオルゼアのほかにもイシュガルドとアラミゴという国家があり、そのアラミゴはプレイヤーの敵となる帝国に占領されているのだ。

そこを奪還できるかという質問で、おいそれとは言えない内容だと思うのだが、前廣氏は「アラミゴの奪還はエオルゼアの民において悲願なので、もう少し時間かかるかもしれませんが必ず奪還できるように頑張っていきたいなと、勝手に言っています。ただ、帝国の一大拠点があるので、仮に奪還するにしても激しい戦いが繰り広げられるのではと、勝手に言っています」と暴走気味に答え、吉田氏は「エクスパンションいくつ目になるんだ」と苦笑していた。

「新生FFXIV」の中で一番好きなキャラクターは誰ですか?

皆思い入れがあるという新納氏だが、クルザス地方の四代名家のオルシュファンが特に気に入っているとのこと。四代名家の設定はあったのだが、今回初めてガッツリと、そして自由にできたという。

錬金ギルドのムムコさんはどこにいったのでしょうか?

新納氏も好きだというムムコさんは、「新生FFXIV」で人口調整をした際に外れてしまったという。しかし第七霊災で被害にあったという訳ではないので、「もし見たい人がいたら復活するかもしれません」と話していた。最近はドライボーンにいる白いアコライト装備をしたミコッテがいなくなってしまって寂しいという意見もあるようで、こちらもどこかの片隅に登場させるかもと発言していた。

一番痛いポロリは何でしょうか?

「さっきのアラミゴの話でしょ(笑)」という吉田氏だが、当の前廣氏は「吉田さんがβテストのとき、エッダというキャラクターの今後についてプレイヤーさんの質問に答えてしまった時は、さすがに魂だけの存在になりました」と、ちょっとしたネタを織り交ぜつつ切り返した。

ちなみにこのエッダ、亡くなったパーティメンバーの首を持ち続けているというキャラクターなのだが、バトルチームからは「首持っているって書いてあるんですけど、間違いじゃないですか?」と吉田氏に確認がいったこともあるようだ。しかしプロットの段階からその状態だったため、間違いではないと話をしたところ、突如開発チームで大人気なキャラクターになったという。

サウンド部門

最後はサウンド部門として、サウンドディレクターの祖堅正慶氏が登場。

祖堅正慶氏

最もお気に入りの曲は?

最初の質問には「手を抜いた曲はないので難しいですが、リミットブレイクトレーラーの曲でしょうか」とコメント。ちょうど「旧FFXIV」と「新生FFXIV」のダブル開発で忙しいところ、新生にギアを切り替えるタイミングだったため、開発の中でも外でも鼓舞するようなものになるといいなと思って作った曲になっている。しかしこの曲、祖堅氏が会社と自宅の行き帰りで鼻歌を録音し、“50鼻歌”ぐらいから選抜されたアイディアをベースに作られたという裏話もある。

効果音で実はこんなものを使っているといったことはありますか?

コスタデルソルで流れる曲の中にシャカシャカといった音があり、その発注がかなり急だったため、当初入れたかったマラカスが準備できず、某白いタブレットのお菓子を砕いてカップめんの容器に入れ、コピー用紙で蓋をしてシャカシャカと振って音を出したという、驚きにエピソードが飛び出した。「コスタデルソルのあれが!?」と驚く吉田氏に会場からは笑い声が上がっていた。

驚くのはこれだけでなく、古城アムダプールでは、パーカッションのような音を机の上に積んだタバコの空き箱を叩いたりして表現したという。吉田氏から「普通の楽器は使わないのかよ(笑)」とツッコミを入れられていたが、効果音の中にはハンドマイクに息を吹きかけたものを別のものと織り交ぜつつ使用したりと(こちらは業界ではおかしなことではないという)、さまざまな試みがされている。

イベントもエンディングに

ゲストを呼ぶコーナーはここまでとなるのだが、「だれか忘れていませんか?」という室内氏は、スクウェア・エニックス代表取締役会長の和田洋一氏から寄せられたビデオメッセージを公開。そこで和田氏からは「大変お待たせしましたが、ようやく『新生FFXIV』をお届けできます。全てやり直そうと決めてから、厳しい指摘から暖かい応援まで、叱咤激励いただきました。結果、我々の中でも際立った、渾身の『ファイナルファンタジー』をお届けすることができました。本当にありがとうございます」と感謝の言葉が寄せられた。

しかし、これでキレイに終わるわけはなく、「私は大体DPSでプレイしています。会社経営をしていますと、TANKなんです。どこに突っ込むかを判断して、まずは自分で突っ込んで、あとはひたすら支え続けていく立場です。これを毎日やっていると、ゲームでもやりたくはないのでDPSを選択しています」と、話が続く。

映像の後半から、和田氏の肩書がMr.Housingに。

さらに「吉田君はDPSは遠隔だと言っていましたが、私はもっぱら近接です。何も考えずにひたすら叩いて、この拳がパーティの役に立ったのかと思いながらログアウトするわけです」と、自身のプレイスタイルまで語っていた。最後まで見終えた吉田氏は「話が長い!DPS選択とか聞いてないから。吉田が遠隔に対して近接?聞いてないよ(笑)」とバッサリ。これには来場者も声を上げて笑っていた。

ちなみに和田氏からは、もうひとつ贈り物として、ハウジングの様子を収録したムービーが届いていた。最終ライティング前で画面が暗いのだが、誰も戦っていない相手に関連した家具なども映っていたようで、吉田氏は頭を抱えていた。

“直樹の部屋”はこれにて終了となり、最後に告知として、東京ゲームショウ2013に参加することが明かされた。これまでE3やGamescomなど、海外の大きなイベントに出展されてきたが、ついに日本での大きなゲームイベントに出展されることとなる。具体的な内容は今後発表となると思うが、吉田氏は「ゲームショウでもプレイヤーの皆さんと楽しめるものをやろうかと思っています」と言っていたので、どんな出展内容になるのか楽しみにしていよう。

エンディングでは、登壇者が集まりそれぞれがコメントした。あえて「感極まっている暇なんてない」と言い聞かせている吉田氏も、途中で涙ぐみながらユーザーにメッセージを届けていた。

登壇者からのコメント

皆川氏:やっとローンチを迎えることができましたが、ここがスタートラインだと思っています。私はUIを担当していますが、まだいちプレイヤーとしても使いづらい部分があったりするので、これからプレイヤーの皆さんと一緒にもっと使いやすいUIを作っていきたいと思います。

河本氏:本当にお待たせしました。ここまでご迷惑をおかけしたり、ご心配をおかけしましたが、ようやく皆様にお届けすることができました。これ以上に嬉しいことはありません。今後も皆さんの励ましの声やお叱りの声をいただいて、育てていくのが「新生FFXIV」だと思いますので、これからもよろしくお願いします。

橋本氏:感無量で、ついにこの日が来たかと胸がいっぱいです。制作の稼動を始めて2年半ほどですが、ようやくここまで来れました。スタッフたちの力の結集だと思いますので、そこを受けとめていただきたいですし、じっくり我慢強く見守って下さったこと、ほんとうに感謝しています。エンジニアたちも引き続きが頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いします。

高井氏:3年前は「何とかなるのかな?」というぐらいのスタートでしたが、過ぎてしまえば一瞬で、この日を迎えることができました。楽しんでもらえるものになっていると思うので、ぜひプレイしていただきたいですし、これからさらにいいものにしていきますので応援よろしくお願いします。

鈴木氏:ゲームとしても面白いものになっていますが、キャラクターやアニメーション、背景、エフェクト、カットシーンなど、すべてに力を入れてつくりました。自分でも自信を持って出せるものができたので、ぜひ堪能してください。

新納氏:僕は「旧FFXIV」いちユーザーとして、ここはこうしたいと思ってチームに参加させてもらいました。辛いけど楽しくて充実した日々で、それが終わって皆さんにお届けできたことが本当に嬉しいです。ただ、これがスタート地点で冒険は始まったばかりです。これからも世界を作っていかなければいけませんし、世界を回していくお話も考えて、皆さんと一緒に作って楽しんでいただこうと思っています。

前廣氏:MMORPGの枠にとらわれず、「ファイナルファンタジー」のナンバリングとしてシリーズに引けを取らないシナリオを描いたつもりです。まずはナンバリングタイトルとして楽しんでいただき、そのあとMMORPGとして、広くプレイヤーの皆さんで絆を作っていただければと思いますので、これからもよろしくお願いします。

祖堅氏:普段は放送ではおちゃらけていますが、開発では怖いと思われているぐらい、開発はストイックにやったつもりです。最先端の技術を使ったり根性を入れて頑張ったので、皆さんに楽しんでいただければすごく嬉しいです。毎日大変でしたが、このメンバーがいて、皆さんの応援があってここまでこれたかなと思います。今後も楽しいゲームにしていくので、どうぞよろしくお願いします。

吉田氏:まず、EU/NAのサーバーではメンテナンスにより、貴重なアーリーアクセスの時間の一部をロスとしてしまい申し訳ありませんでした。この先、長い旅が始まりますので、その辺りのことを挽回していけたらと思っています。

「FFXIV」を引き継ぐことになってもうすぐ3年になります。ゲームを作り直す話をスタッフにしたのは、皆さんに対外的に発表させていただく2日前でした。今でも覚えていますが、こういうスタジオで上にミキサー室があり、マイクの調整をしていた祖堅がガッツポーズをしてくれていたのが印象的でした。開発チーム内も、「何とか何のこれ?」とか「きついんじゃないの?」という雰囲気がある中で、ひとつひとつ皆さんに応援してもらいながらやってきました。

「新生FFXIV」を作ったのは僕ではなく、世界中のプレイヤーの皆さんやコアスタッフ、そして会場には来れていない何百人ものスタッフのおかげです。まだ僕らにとって「新生FFXIV」は第一歩なので、正直、泣かないつもりでいましたし、わざわざ感極まっている暇はないなと思っています。

僕らにとってはとても短い2年半でしたが、プレイヤーの皆さんには本当に長い期間応援していただきましたし、待っていただきました。本当にスクウェア・エニックス一丸となって「ファイナルファンタジー」の名に恥じないだけのMMORPGがリリースできたと自負しています。ここから先、MMORPGに完成はありません。これまで皆さんと一緒に作ってきた「ファイナルファンタジー」なので、これからも皆さんと作っていく「ファイナルファンタジー」として5年、10年、それ以上続くよう、今日この場所と初心を忘れず運営を続けていこうと思います。本当にありがとうございます。そしてこれからもどうぞよろしくお願いします。

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