「崩壊:スターレイル」ファイナルクローズドβテストプレイレポート――「原神」のノウハウを生かして作られた別ジャンルのRPG

HoYoverseよりiOS/Android/PC向けに配信予定の「崩壊:スターレイル」で2023年2月10日より行われた、ファイナルクローズドβテストのプレイレポートをお届けする。

SFとファンタジー要素が入り混じるドラマチックなストーリー

「原神」で知られるHoYoverseが手掛ける「崩壊」シリーズ最新作となるスペースファンタジーRPG「崩壊:スターレイル」(以下、スターレイル)。本作の舞台となる世界は、惑星間航行を可能とする列車や、巨大な宇宙ステーションが存在するなどSF要素が強い。その一方で、星神(アイオーン)と呼ばれる神が様々な影響を及ぼしており、ファンタジー的な要素が存在しているのも特徴的なポイントだ。

プレイヤーの分身となる開拓者(主人公)は、神にも通じる不思議な力をもつ星核を身体に宿した存在。元々、開拓者は世界に存在する様々な怪異を保管している宇宙ステーションで、何らかの理由によって眠りについていたが、宇宙ステーションが「反物質レギオン」と呼ばれる勢力に襲撃を受ける中、星核ハンターの「カフカ」とスーパーハッカーの「銀狼」という二人の女性によって星核を体内に埋め込まれたことで目を覚ますことになる。

c|開拓者が目覚める際、プレイヤーは性別を選択する。今回は女性を選んだ。

レギオンの襲撃に巻き込まれた開拓者は、星穹列車に所属する「三月なのか」と「丹恒」によって救出される。自身が特殊な力をもっていることを知った開拓者は、星核の調査のため星穹列車の一員となって遠い銀河を旅することになる……というのが序盤の導入部のあらすじだ。

個人的にストーリーのエンジンが掛かってくるのは、星の大守護者・カカリアによって統治されている極寒の惑星「ヤリーロ-VI」に到着してからで、進行にあわせて様々な育成システムが解禁されていくのも相まって面白さが一気に上がっていく。

ストーリー面での「原神」との大きな違いとして、「原神」では基本的に主人公である旅人はパイモンとの二人旅だが、「スターレイル」では常に複数人の仲間キャラクターが同行していること。「原神」では、あくまでも主人公とパイモンを軸としたドラマが描かれることが多いのに対し、主人公以外の仲間キャラクターも描写が多いのが「スターレイル」の特徴だ。

ヤリーロVIでのストーリーでは惑星を統治している政府の治安組織シルバーメインのリーダーである「ブローニャ」と、シルバーメインと対立する組織である「地炎」のメンバーである「ゼーレ」の二人にスポットが当たっている。仲間キャラクターのドラマが深く掘り下げられていることで、よりキャラクターへの愛着が湧きやすくなっている。

「原神」と大きく異なるバトルとフィールドのシステム

「スターレイル」では、比較的シンプルなコマンドバトルが採用されている。

戦闘に参加できるキャラクターは4人で、速度のパラメーターに応じて行動順が決定される。選択できるのは「通常攻撃」か「スキル」、「必殺技」の3種類だ。

スキルの発動にはSPが必要で、通常攻撃を行うことでSPが回復する。SPはパーティ全員で共有しているので、4人の中でどのキャラクターにSPを溜めさせ、どのキャラクターがスキルを発動するかが重要。スキルの効果はダメージを与えるものだけでなく、バフ・デバフ・回復・再行動・味方にバリアを付与など様々な種類が存在する。

一方、EPが最大になった時のみ発動可能なのが「必殺技」。必殺技は行動順を無視して任意のタイミングで発動することができ、スキルと同様にキャラクターごとに個性的な性能が設定されている。行動順が来る直前に敵を撃破したり、敵の連続行動に割り込んで味方のHPを回復、バフ・デバフスキルの効果を得た直後に行動して大ダメージを与えるといったように、発動タイミングも考えて使う必要がある。

EPは通常攻撃・スキル発動した際だけではなく、ダメージを受けた時にも溜まり、結構な頻度で発動できる。戦局を一変させる切り札というよりは、数ターンに1回発動できる強めのスキルといった位置づけという印象で、必殺技を含めて戦略に組み込む必要がある。

また、バトルにおいて非常に重要なのが属性の存在。本作ではあらゆる敵に弱点となる属性が設定されており、HPとは別に「靭性」と呼ばれるゲージを所持している。弱点の属性で攻撃すると靭性が減少し、0になると弱点撃破という特殊状態が付与される。弱点撃破状態はしばらくすると回復するが、それまで与えるダメージ量が上昇、行動順が遅くなる、回復時にそれぞれの属性ごとの追加ダメージを与えるという様々なメリットが発生するので、まずは弱点撃破を狙って靭性を削っていくのが本作のバトルの基本となる。

c|敵の弱点は2~3属性設定されていることが多いので、
4人パーティでも弱点をまったくつけないというケースはさほど多くない。

バトル中に選べる行動が少ないため、一般的なコマンドバトルと比べるとかなりシンプルな作りとは言えるのだが、それがテンポのよさに繋がっており、爽快感のあるバトルが楽しめる。倍速やオート機能なども搭載されており、要素がシンプルな分オートでもしっかりと戦ってくれるようになっており、素材を集めるための周回でも重宝した。

一方で、スキルや必殺技の中には、敵の行動タイミングを遅らせる、撃破時に再度行動するといったものもあり、うまく戦略がハマれば敵に一切行動させることなく勝利することも可能。プレイヤーが指示を出すことのメリットも当然ながらしっかりとあり、コマンドバトルとしてはカジュアルながら、しっかりと戦略性も両立させることに成功した印象を受けた。

また、ストーリーを進めることで行き先が増えていく、エリア制のフィールドが採用されているのも、オープンワールドを採用している「原神」と異なる点。フィールドには様々な謎解きギミックや宝箱、素材が配置されて、そのエリアごとにいくつ宝箱が残っているかをマップから確認できるようにもなっている。

バトルはシンボルエンカウント方式で、フィールド内を歩いている敵に接触すると発生する。フィールドではパーティに編成したキャラクターを自由に切り替えることができ、それぞれの攻撃アクションも行うことができる。この攻撃アクションで敵の弱点属性をつけば敵の靭性を大きく減らした状態でバトルが開始される。

フィールドでは、キャラクター固有のアクションである「秘技」も使用できる。秘技にはパーティのHPを回復する他に、パーティへのバフ、近くの敵へのデバフ、一定時間ステルス状態になるなど様々な効果が発生し、使用することでバトルを優位に進めたり、バトルを避けながら進みたい時に役立つ。発動には秘技ポイントが必要で、ゲームの序盤はなかなか活用できないことも多かったが、ゲームを進めると秘技ポイントの上限も増えていく。

クエストのボスだけではなく、ランダムで飛び抜けてレベルの高い強敵が出現することもあるようで、強敵を発見した際には強敵を見つけた場合は、弱点属性をつける構成にパーティを切り替えたり、事前に秘技を使用してパーティを強化して挑むのがいいだろう。

c|フィールド内には「界域アンカー」と呼ばれる回復ポイントも存在。
一度解放した界域アンカーは以降自由にファストトラベルできるようになる。

育成やUIなどのシステムは原神を踏襲

一方、育成を中心としたシステム面は「原神」と非常に近い作りになっている。

キャラクターには壊滅・巡狩・知恵・調和・虚無・存護・豊穣の7種類の「運命」(RPGにおけるジョブやロールに近い)と、炎・雷・氷・風・物理・量子・虚数の属性から1つが割り振られている。運命と属性はキャラクターごとに固定の要素となっており、変更することはできない。

性能に大きく影響を与えるのは、武器に相当する要素である光円錐。光円錐はすべてのキャラクターが装備できるのだが、付与されている固有の光円錐スキルは対応した運命のキャラクターが装備した場合しか効果を発揮しない。実質的には、それぞれの運命ごとの専用装備に近い形となっている。

c|高レアリティの光円錐は主にガチャである跳躍で入手するが、星4光円錐はクエストの報酬などでも手に入る。

加えてキャラクターが装備できるのが「遺物」。遺物は4箇所にセット可能な装備で、それぞれに「攻撃力アップ」「会心率アップ」といった様々なメインとサブ効果が付与されている。同じ種類の遺物を装備すると、2セット、4セットで追加の効果が発動する。

「原神」における聖遺物とほぼ同じだが、聖遺物は5つの枠に装備できたのに対し、本作の遺物は4つと装備枠が1つ少ない。その代わりに追加の装備枠として、別カテゴリの遺物である「次元界オーナメント」が存在している。次元界オーナメントは2セット効果のみが設定された特殊な遺物で、属性ダメージアップやEP回復効率アップなど、性能に大きく影響する優秀なメイン効果が設定されているものが入手できることもある。

ただし入手できるのは、高難易度ダンジョン的な位置づけである「模擬宇宙」の3層以降となっており、通常の遺物に比べると入手難易度は高め。とはいえ模擬宇宙を最後までクリアできなかった場合も入手した次元界オーナメントはそのまま持ち帰れるし、模擬宇宙内で獲得できるポイントを消費してアビリティ(模擬宇宙内でのみ有効な強化ボーナス)を修得し、繰り返し挑戦することで少しずつ難易度を下げることができるようになっている。

模擬宇宙内で次元界オーナメントを生成する際にも開拓力を消費する必要がある。
模擬宇宙はクリア特典も豪華で、星4キャラクターの「ヘルタ」が加入してくれる。

「軌跡」は、スキルや必殺技、通常攻撃のレベルを上げて強化できるツリー方式のシステム。「原神」の天賦育成をより大規模にしたもので、キャラクターごとに専用の追加効果やステータスボーナスも解放できる。すべての項目を最大にするにはかなりの数の素材が必要となるので、やりこみ要素的な位置づけにもなっている。

スタミナにあたる開拓力を消費して育成素材を入手

「開拓力」を消費することで挑戦できるようになる特殊なバトルに挑むこともできる。開拓力は、時間経過で回復していくスタミナにあたる要素。獲得できるのは、経験値、光円錐の育成素材に遺物、キャラクターの昇格や軌跡の解放用素材など様々で、基本的な育成のリソースはこの開拓力を消費して集めていくことになる。週に3回まで挑める特殊なボスなどもおり、「原神」の樹脂とほぼ同じものという認識で問題ない。

ゲームの序盤は開拓レベルによって育成に制限がかけられており、「原神」の世界ランクに相当する開拓レベルを上げることで、より上位の解放されていく。開拓レベルを上げてより上位のボスや迷宮に挑み、レアリティの高い遺物や素材を入手できるようになっていく。

開拓ランクは、開拓力を消費したりクエストをクリア、宝箱を開けた際などに溜まっていく「マイレージ」のレベル10ごとに1上がる。プレイしてしばらくの間は、宇宙を冒険して開拓レベルを上げていくのが目標になるだろう。

キャラクター・光円錐はガチャである跳躍で入手

本作では、課金要素についてもかなり「原神」と近い形式が採用されている。

「跳躍」という名称で本作でもガチャが存在しており、キャラクターと光円錐が排出される。ファイナルβテストでのガチャは、期間限定の星5キャラクターをピックアップした「イベント跳躍」、期間限定の光円錐をピックアップした「イベント跳躍・光円錐」と「恒常跳躍」の3種類。イベントキャラクター・恒常跳躍は最大90、光円錐は最大80連が天井として設定されており、星5が確定でピックアップされる。キャラクターについて「原神」とまったく同じで、最初の90連では50%の確率、180連目では確定で期間限定ピックアップキャラクターが排出される。

すでに所持しているキャラクターを跳躍で入手した場合、キャラクターの「星魂」も入手できる。
星魂を消費して、最大6回までキャラクターの性能をさらに強化できる。

一方で「イベント跳躍・光円錐」は、現状の「原神」の武器祈願とは少し仕様が異なっており、まずピックアップされる光円錐は1種類のみで、80連目で75%の確率、160連目に確定でピックアップ対象が排出される。

また、キャラクター重複時に入手できる消えない星芒(「原神」のスターライトに相当)の交換対象に星5の光円錐もラインナップされていた。「原神」ではキャラクターのガチャを優先すると、なかなか最高レアの武器が入手できないが、キャラクターの方の跳躍だけを回した場合も、根気強く星芒を溜めていけば最高レアの光円錐も交換できる形となりそうだ。

「原神」の紀行に相当する、「ナナシの勲功」も存在。デイリーやウィークリーのクエストをこなすことでレベルが上がっていき、様々な育成素材やガチャチケットを獲得できる。βテスト段階ではまだ実際に購入することはできなかったのだが、ナナシビトの勲章を解放することで、追加のボーナスが獲得できるようになっている。

プレイアビリティの改善も行われており、キャラクターの育成で素材が必要になった場合は、表示される入手場所リストから直に対象のエリアにファストトラベルができたり、万能変換器を使うことで、余った素材を同じレアリティの素材と交換できるようになっており、「原神」と同じシステムを採用しつつも、かゆいところに行き届いた仕様となっている。

今回筆者はPC版でプレイしたが、マウス+キーボードだけではなく、ゲームパッドの操作にも対応していた。PS5用コントローラーのDualSenseを繋いだ場合、ボタンガイドも専用の表記に変わるため非常にプレイしやすかった。

ただ、イベントの詳細や告知を見るためにブラウザが開かれる時など、一部コントローラーで操作ができなくなるタイミングが存在したのは少しに気になったところ。サブクエスト関係では、日本語のローカライズが少し不自然に感じる箇所も残っていたので、さらなるブラッシュアップにも期待したいところだ。

c|クエストやストーリーで出会ったキャラクターからメッセージが届く機能もあり、
高い頻度でユニークなやり取りが繰り広げられるようになっている。

「スターレイル」をプレイして感じたのは、「原神」の開発・運営ノウハウを生かして作られた別ジャンルのRPGという印象だ。本作は買い切り型のタイトルとして日本で多数リリースされてきた、ストーリー主導型のRPGを彷彿とさせる要素が非常に多く、新しさと同時に懐かしさも感じられるタイトルとなっている。既にゲームはかなりの完成度に到達しているのは間違いないので、サービスの開始が今から待ち遠しい。

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