最強の武術家を目指す小説「笑傲江湖」をモチーフにした「ヴァニティー オブ ヴァニティーズ」の特徴を開発者にインタビュー

シーアンドシーメディアが6月26日に正式サービスを開始した「ヴァニティー オブ ヴァニティーズ」の特徴や中国でのサービスについて開発者にインタビューした。

今回、開発を行った中国Perfect World社でアートプロデューサーを務めるSteve Lau氏と、シーアンドシーメディア オンライン事業本部 グループリーダー 木村泰隆氏にお話を伺った。Steve Lau氏は、「VANITY of VANITIES(原題:笑傲江湖Online)」の開発総責任者で10年以上MMORPGの開発に携わった人物だ。本作の特徴や原作となった小説「笑傲江湖」について訊くことができたのでお届けする。

本作の特徴や原作となった小説「笑傲江湖」について

――まず、本作の原作でもある小説「笑傲江湖」について教えて下さい。

Steve Lau氏
Steve Lau氏

Lau氏:小説「笑傲江湖」は、中国の小説家・金庸氏により50年ほど前に書かれた代表作で、武術で最強を目指す物語です。自由奔放に生きる主人公・令狐冲をはじめ、多くの主人公が登場し、複雑な人間関係や派閥の対立が描かれています。中国では非常に有名な作品で、何度もドラマ化されており、幅広い世代に楽しまれています。

本作では、原作に出てくる多くの登場人物がゲーム内にキャラクターやボスとして登場します。ストーリーのアレンジなども行われていますが、クエストなどを通して原作の世界を楽しむことが可能です。現在は、原作ストーリーの25%ほどがゲーム内に実装されています。

――本作のコンセプトについて教えて下さい。

Lau氏:高いアクション性が最大の特徴です。ゲーム内には10個の派閥が存在し、スキルなど派閥ごとさまざまな特徴をもっています。さらに細かいカスタマイズが可能なキャラクターメイキングを備えています。もちろん、ストーリーを楽しみながらダンジョン攻略やクエストを進めることができます。

――特徴的なアクションは?

Lau氏:中国の少林寺といった武術が10大門派として登場します。各武術の資料を参考にしながらアクションを制作しました。実際の武術家の動きなどをモーションキャプチャーを用いて撮影し、リアルな動きを再現しています。

木村泰隆氏
木村泰隆氏

木村氏:スキルは、最初に覚えたスキルを使用していると20レベルで覚えられるスキルを使用できない、レベル20で覚えたスキルを使用するとするとレベル10で覚えたスキルを使用できないというようになっています。

スキルスロットにスキルを設定しておき、そのスロットを切り替えながら使用することが可能です。これにより、まったく同じ派閥に入ったとしてもどのスキルを習得するかにより、異なる特徴を持ったキャラクターに成長します。

戦闘では、通常の攻撃アクション以外に敵の攻撃を回避したり防御もできます。

また、「軽功」と呼ばれるアクションでは、多段ジャンプや水面を走るなど、今までのオンラインRPGではできなかったアクションが可能です。多段ジャンプでは、最初に行えるのは1段ジャンプでだけですが、クエストをクリアすることで、3段ジャンプまで行うことができます。ジャンプで高い建物の上や山に登ることも可能です。また、高い場所から滑空することもでき、一部のスキルは滑空状態から使用できます。

ダッシュでの移動や、水面を走ることもできます。滝などは登れませんが、海や川といった多くの水面で使用可能です。

――その他に特徴的なシステムはありますか?

木村氏:ダンジョンでは難易度を設定することができます。ソロプレイを楽しみたい人であれば低い難易度で遊ぶこともできますし、パーティーを組んで難易度の高いダンジョンに挑むこともできます。

――グラフィックエンジン「ANGELICA III」の特徴は?

Lau氏:本作で初めて「ANGELICA III」を採用しました。採用したことで、海の波による光の反射や雲が今まで以上に美しく表現できています。また、キャラクター装備の皮や鉄の質感、髪の毛の表現などをより自然に描画できるようになりました。

――キャラクターメイクで進化した点は?

Lau氏:ユーザーは多くの選択肢を求めていると考えています。選択の幅が狭くなってしまうと似たようなキャラクターが多くなってしまいます。まぶたのカスタマイズや体の大きさなど細かい点までカスタマイズ可能です。今後は女性の化粧などの追加も健闘しています。

――PC推奨スペックはどの程度でしょうか?

木村氏:GeForce 9800あたりを推奨環境としているので、現在販売されているゲーミングPCであれば、快適にプレイできると思います。

――中国でのサービスの状況を教えて下さい。

Lau氏:サーバーは60~70台程度が稼働しています。サービス開始初日に同時接続者数35万人を達成し、その後1週間の最大同時接続者数が42万人を達成しました。中国では、サービス開始日より、かなり早い段階でプロモーションを行っており、中国で一番大きな国営テレビでも取り上げられましたね。

ゲームタイトルが小説と同じ「笑傲江湖」とわかりやすいタイトルだったため、発表当時から非常に高い期待をされていました。

――日本でのローカライズで変更した点はありますか?

木村氏:キャラクターの顔のイラストを日本向けに変更しました。スキルの強さや派閥などに関しては中国と同じ仕様になっています。

――日本と中国のプレイヤーでプレイスタイルなどに違いはありますか?

木村氏:中国のプレイヤーに比べ、日本のプレイヤーの方が使用しているクラスが偏っていました。日本のプレイヤーは原作を知らない人が多く、原作の先入観がなく、特徴的な武器を使うクラスなどに偏っているようです。扇子を使う「逍遥」やムチを使う「五仙」が目立ちますね。

今後のアップデートについて

――今後のアップデート予定は?

Lau氏:今、日本でサービスされているバージョンは、中国サービスでの2014年1月バージョンになります。中国ではその後、4月に新たな武器や砂漠といったフィールドが追加されました。

6月には新しい島のフィールドが導入され、鬼ごっこのようなコンテンツが実装されました。家具に変身したキャラクターを制限時間以内に見つけてポイントを入手し、ポイントを使ってさまざまなアイテムと交換することができます。戦闘するだけではない、キャラクターのレベルに左右されないコンテンツです。

現在は、8月に向けて競技場やギルドで戦う国戦といったコンテンツを開発しています。中国では、毎年2回の大型アップデートと毎月小さなアップデートを行っています。

木村氏:半年くらいのタイムラグはありますが、日本でも同じようなスケジュールで実装する予定です。

――日本オリジナルイラストをご覧になっていかがでしたか?

Lau氏:多くの中国の若者は日本のアニメを見ながら成長しました。イラストレーターの山田章博氏は中国でも有名な方でしたので、すぐにわかりました。驚きましたね。

――イラストやアバターで何か企画などはありますか?

木村氏:現在、日本のイラストレーターさんにアバターデザインを依頼しており、それを8~9月に実装予定です。最大で5個くらいのアバターが導入される予定です。いずれも日本のユーザー向けのもので、世界観を崩さないオリエンタルファンタジーの衣装でになる予定です。

――日本のユーザーにメッセージを下さい。

Lau氏:昔から中国や台湾では「笑傲江湖」が知られているので、本作を受け入れられやすい環境が整っていました。その点で日本は独特な市場なので、日本のユーザーから多くの意見をもらい、日本に適したオリジナルの要素も追加していきたいと考えています。ぜひ、遊んでいただき多くの意見を寄せていただきたいです。

木村氏:日本では原作の知名度が高くありませんが、とても面白い物語なので本作の中で体験していただきたいです。また、アクションもぜひ楽しんで下さい。

――ありがとうございました。

ヴァニティー オブ ヴァニティーズサービス終了

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