マビノギ英雄伝、2周年を迎えて今までの振り返りや今後のアップデート情報、日本と韓国での運用について開発陣と運営チームにロングインタビュー

ネクソンが運営するMOアクション「マビノギ英雄伝」。サービス2周年を迎えてネクソンコリア英雄伝室と日本の運営チームの面々にいろいろとお話を聞くことができたので紹介しよう。

日本では2011年11月3日~10日の期間、クローズドβテストを実施、エピソードの1~3を解放、「リシタ」「フィオナ」の2キャラクターを体験できた。11月23日よりオープンβテストを実施、11月30日から待望の正式サービスインとなった「マビノギ英雄伝」。

2013年11月に2周年を迎え、今までを振り返っての制作秘話や今後実装予定の新キャラクター「ハルク」、運用部の体制変更や未来の「マビノギ英雄伝」について、ネクソンコリア 英雄伝室「イム・ドックビン」室長と海外PM4チーム「キム・ヒョンジュン」氏、ネクソン 運用本部 本部長「山崎克臣」氏と「石川奈緒」室長にたっぷりとお話を聞いてきたのでお伝えしよう。

写真左よりネクソンコリア 海外PM4チーム「キム・ヒョンジュン」氏、英雄伝室「イム・ドックビン」室長
ネクソン 運用本部「石川奈緒」室長、運用本部 本部長「山崎克臣」氏。

開発陣&運営チームロングインタビュー

――マビノギ英雄伝のサービス2周年を迎えて、これまでの振り返りをお願いします。

ネクソンコリア 英雄伝室「イム・ドックビン」室長
ネクソンコリア 英雄伝室「イム・ドックビン」室長

イム・ドックビン氏(以下、イム氏):2年間、多くのプレイヤーが楽しんでくれており、βテストからずっと続けてプレイしてくれている人や、最近新しく始めてくれる人も多く、本作を愛してくれていると感じています。アクション性も強く、他の作品とも違った要素が多い「マビノギ英雄伝」を選んで遊んでくれて、とても嬉しいですね。

石川奈緒氏(以下、石川氏):ネクソンでは他のタイトルに比べ、マビノギ英雄伝は斬新で特殊なタイプのタイトルということで、正式サービスイン時にもかなり人気がありました。さまざまなアップデートを重ね、現在のゲーム内は技術面も含めて、安定しております。固定で遊んでいただけるお客様や新規、休眠のお客様もおりまして、いろいろな反省点もありますが、現在はとても安定しています。

――新キャラクターの開発・実装で苦労した点を教えて下さい。

イム氏:まず、すべてのキャラクターの開発が大変だったことを覚えています。本作は特にアクション要素が強いタイトルですので「魅せるアクション」を導入することを重視し、既存のRPGのキャラクターとは違った、各キャラクターが敵と戦うアクションなどの調整が大変でした。

石川氏:振り返ってみると、キャラクター追加の際の数字を見ても、お客様が楽しみにしてくれていることも分かりますし、開発が用意してくれたものをお客様に引き渡す役割を担っていますので、失敗のないように気を付けています。反面、キャラクター実装の際にどれだけ盛り上がるか、いつも心配ではあります。

――日本と韓国のプレイヤーの違いはどのようなものでしょうか?

イム氏:国家間でプレイスタイルが変わってくるものだと思っていましたが、ゲームが好きなプレイヤーさんはグローバルで共通しており、世界的に共通して人気のタイトルはみなさんプレイしているので、そんなに差はないと感じます。

石川氏:日本のお客様はPvPやプレイヤー同士の対戦があまり好きではないように感じます。それより物語を進めていったり、レベルを上げることを好む方が多いようです。また、他社のゲームタイトルを同時に遊んでいる人や、他のタイトルから来る方などもたくさんいるので、海外や韓国とは盛り上がり方は少し違うのかもしれません。運営チームでは日本のお客様に喜んでもらえるようなコンテンツを提案しています。

――メインストーリー全体で、当初の予定のどのくらい進行していますか?

イム氏:開発中に当初の計画とは時期が変わってしまいましたが、Season1の終わりでは、開発初期の段階で全体の半分くらいまでは物語は進んでいました。Season2では今までのつながりとさまざまな要素が盛り込まれており、現時点では「ここまで進行している」と断言はできません。

――物語も重厚な本作が日本でのサービス当時のプレイヤーの反応はどうでしたか?

ネクソン 運用本部「石川奈緒」室長
ネクソン 運用本部「石川奈緒」室長

石川氏:本作の通常攻撃とスマッシュ攻撃を組み合わせる独特の操作方法が、当時はあまりないタイプだったので、気に入ってくれるお客様が多かったです。スキルをボタン1つで出すだけではなく、敵の攻撃のモーションを見極めた戦略や駆け引きを楽しんでくれるお客様は多かったですね。

Season1の物語に関しては、かなり気に入ってもらえたようで、「マビノギ」につながるキーワードもしっかりと盛り込んであるので、楽しんでくれていたと感じます。

――日本でまもなく実装される新キャラクター「ハルク」の特徴について教えて下さい。

イム氏:マビノギ英雄伝の中で最高の攻撃性能を誇るキャラクターが「ハルク」です。武器は大剣を操り、スキルをつなげる攻撃が得意です。特に武器の重さを生かした攻撃と、モンスターの動きを見ながら、回避せずに攻撃を与え続けることが可能です。

また攻撃力も高く、攻撃のタイミングなどプレイヤーのコントロール力が若干必要とするので、どちらかというと上級者向けのキャラクターとなっています。武器が大剣ということで移動スピードが遅いように思われがちですが、操作してみると結構速いと思いますよ。

――ハルクの実装について韓国での反響はどうでしたか?

イム氏:ハルクは、マビノギ英雄伝の開発初期からコンセプトやデザインが存在したキャラクターだったので、韓国でもプレイヤー待望の実装となりました。外見やプレイスタイルも強くて独特な動きをするので韓国プレイヤーはかなり期待しており、特に男性キャラクターにも関わらず、外見に関する評価は高かったと思います。

――なぜ7人目で分かりやすい近距離型のキャラクターを導入したのですか?

イム氏:日本では、コンシューマ向けタイトルなどで大剣を背負うキャラクターはおなじみだと思いますが、韓国では大剣を扱うキャラクターはあまりポピュラーではなく、マビノギ英雄伝のサービスイン時、リシタ・フィオナ・イヴィのあとに実装されるキャラクターはカイだったんですが、開発状況や検証の終わったキャラクターのカロックが先に入りました。なので、あまり実装の順番に意味はありません。

――ハルクの実装で他のキャラクターのバランスを考えた調整はしましたか?

イム氏:韓国では2013年の冬にバランス改変のアップデートを用意していますが、詳しくはまだお話できません。

――日本運営側ではハルクを触ってみてどう感じましたか?

石川氏:(インタビュー当時)実はまだほとんど触っていないんですが、すでに韓国で実装されているのでお客様自身で情報を集めている方がいるようで、結構な期待をされている印象を受けました。外見に関しては女性のスタッフからは「イケメンでカッコイイ!」との声と、武器の大剣にも注目していましたね。

――マビノギ英雄伝の魅力はやはり「筋肉」だと思いますが、意識して開発されているのでしょうか?

イム氏:開発時にはかなり意識して作っています。特に北米地域に本作を紹介する時にアメリカン・ヒーローのような、普段はか細いのに、ある能力によって筋肉隆々になるようなイメージを持たせています。韓国の女性は筋肉質(モムチャン)が大好きなんです(笑)。

――ちなみに現在マビノギ英雄伝の開発は何名くらいで作業しているんですか?

イム氏:60名くらいです。

――メイプルストーリーやマビノギなどかわいいキャラクターがメインのタイトルから、リアルな作品に変わっていった理由は?

石川氏:特にシフトするというより、幅広いジャンルをたくさん取り入れて、いろいろなお客様が楽しめるように間口を広げていったと言えます。特にマビノギ英雄伝では、コンシューマ向けタイトルが好きなお客様を迎えたいという気持ちはありますね。

マビノギ英雄伝の良いところはやりこみ要素もありますが、短時間でサクッとプレイすることができるので、RPGやFPSなどをプレイしている時にちょっとマビノギ英雄伝をプレイするのもアリだと思いますね。

また、世界観を共有するところもあるので、マビノギをプレイしているお客様が遊んでくれることもあります。

――DIVAコロシアムやスカーレットブレイドのようなセクシー路線のタイトルをサービスする傾向に合わせたのでしょうか?

ネクソン 運用本部 本部長「山崎克臣」氏
ネクソン 運用本部 本部長「山崎克臣」氏

山崎克臣氏(以下、山崎氏):いろいろな層を取り入れたいという思いですね。メイプルストーリーやテイルズウィーバーとは違った層で、マビノギと重なる層を考えると、セクシー系に走りがちですが…(笑)。

――ネクソンとして、マビノギ英雄伝は、今後どのような層にアプローチしていく予定ですか?

山崎氏:今後は、今までよりも一層、運用チームと開発チームで協力して、プロジェクトを進めていきたいと思っています。マビノギ英雄伝はサービス開始2年ということでネクソンにとっては若いタイトルでもあり、今後リーチするお客様はたくさんいるだろうと考えています。

――特にこれまでの日本でのPRなどで反省した点は?

石川氏:本作はMMORPGよりも取っ付きやすい印象のタイトルですので、ローンチの際には良いスタートが切れたことは嬉しかったですね。

――TVCMの効果はどうでしたか?

石川氏:TVは多くの方に名前を知ってもらうためには効果的な媒体ですので、認知向上のためにはいい感触だったと思います。ただTVCMを流しているだけだと、名前は売れてもどういったゲームかは伝わらないので、付随して存在を知った人にゲームを理解してもらえるような施策を考えていました。

また、日本でのローンチ前に韓国ゲームショウ「G-Star」などに出展され、常に興味を持ってもらっていたタイトルなので、事前の認知や期待感を生かしてローンチを迎えられたと思っています。

――韓国でのサービス時のPRはどんなものでしたか?

イム氏:韓国では集中的にプロモーションを展開するのは夏休みや冬休みで、休みの学生などに合ったコンテンツのコンセプトなどを考えて実施します。ハルク実装の際のプロモーションは異色で、アフリカTVの人気DJがハルクを実際にプレイした映像を放送して、認知度を上げました。

また、ハルクのコンセプトとして大剣を装備していますが、その大剣を地面に叩きつけているように見える「トリックアート」としてカンナム駅に掲示したプロモーションも実施しました。

――PCBAN(ネットカフェ)でのプレイヤーの動向はどうですか?

イム氏:PCBANではマビノギ英雄伝はあまりプレイはされていないようです。有名なFPSやAOSなどをプレイしている人が多いですね。プレイしている年齢層は10代後半~20代中盤ですね。

石川氏:日本のネットカフェでのプレイも少ないと思われます。日本のお客様は20代後半の方が中心です。だからこそインナーのアバターが売れるのかもしれませんね。

――本作では女性向けのインナーだけじゃなく、男性用のインナーも作りこんでいますよね?

石川氏:インナーのアバターに関しては日本でアイデアを考えて実装してもらっています。今まで人気があったのがセクシーなレース系のインナーや制服のインナーですね。また本作ではバトルをしていると衣装が壊れていくので、その状態での見せ方も考えながらデザインしています。

――アップデートのトピックス(PvPアリーナ、チャールズトレイン)などについて教えて下さい。

イム氏:PvPアリーナは1vs1の対人戦が楽しめ、4つの闘技場で同時に対戦が始まり、サバイバル形式で勝敗を決めます。他のプレイヤーが対決しているところを観戦することが可能です。チャールズトレインは、SEASON2 EP2で実装された「チャールズレース」の次期シリーズで、SEASON2 EP3の背景を使用したシューティングゲームになります。鉱山でトロッコに乗り、特定の武器を換装しながら、チャールズと対決します。報酬はAPや称号などを得られるアイテムを予定しています。

――韓国のプレイヤーからはPvPについてどのような意見や要望が寄せられましたか?

イム氏:PvPに対しての意見はかなり多いですが、特にバランスに関しての要望が多いです。

石川氏:日本ではPvP自体プレイをする人が少なく、相手がNPCではないのがあまり好まれないようです。もちろんPvPをプレイしたい人もいると思うので、うまく盛り上げながらもっと普及できるような工夫を考えています。

――今後もPvPやミニゲームなどのコンテンツを実装していく予定ですか?

イム氏:チャールズトレインは実は開発費が結構かかってしまい、ミニゲームとして今後どのような方向で作っていくかは決まっていないのですが、現在日本で実装されている「フルーツバトル」のようなコンテンツは引き続き作っていきたいと思っています。

――フルーツバトルは日本でも好評ですか?

石川氏:そうですね。日本側でもどんどんアイデアを提案していこうと思っています。次のアイデアは用意していますがちょっと現時点では発表できません。

イム氏:フルーツバトルは韓国で夏に実装する予定で、インナーの水着実装も合わせて企画していました。

――今後、マビノギ英雄伝では、どのような展開を考えていますか?

石川氏:開発チームとの密な連携、リソースの投下や、運営チームスタッフの増員、制作部・技術部・広告宣伝チームなどさまざまな部署の垣根を取って効果的、瞬発的に動けるように考えています。

――今後単独でのオフラインイベントなどは?

石川氏:アイデアベースでは考えています。運営チームの人員も増えたこともあり、以前よりもGM「英雄なつな」が、ゲーム内やTwitterなどでお客様とコミュニケーションを取っています。その延長線上にオフラインイベントがあると考えています。ネクソンのタイトルではGMが積極的に活動はしておらず、どちらかというと監視する役割を担っていました。これからは、もちろんルールも存在するので距離を置きつつ、お客様と交流すれば、盛り上がりも期待できますし、休眠しているお客様も戻りやすくなるのではないかと考えています。

――ゲーム内のイベントやキャンペーンなどで休眠プレイヤーに向けたものは考えていますか?

石川氏:はい。マビノギ英雄伝でも用意しています。

――ソードアートオンラインとのタイアップ・コラボのように日本の作品とのコラボレーションはどんなものを考えていますか?

石川氏:2014年にタイアップキャンペーンなどの予定はしています。また、アニメーション作品に限らず、さまざまなジャンルでのキャンペーンを考えています。

――マビノギ英雄伝スマートフォンサイト「英スマ」やNEXONコネクトに対応するなど、各ツールも配信していますが、今後も連動したアプリケーションなども登場しますか?

石川氏:NEXONコネクトについては導入自体が一旦のゴールとなりますが、「英スマ」に関しては初動も良く、お知らせや掲示板機能がスマートフォンで使えるのは便利という声を聞いています

――ワンタイムパスワードなどセキュリティに関しての施策はありますか?

石川氏:マビノギ英雄伝には2次パスワードも導入されておりますが、ネクソン全体でワンタイムパスワードの使用を推進しております。先日、シマンテック社の新しいワンタイムパスワードのシステムに切り替えを実施し、オリジナルのワンタイムパスワードトークンも発売しております。そちらは購入していただくとゲーム内のアイテムが入手できます。

――最後にこれからマビノギ英雄伝を始める人に向けてメッセージをお願いします。

イム氏:マビノギ英雄伝は、打撃感や爽快なアクションを楽しめる最高のゲームだと思っています。これからのその部分を強化しながら良質なコンテンツを開発したいと考えています。今後の目標として韓国と海外のアップデートの間隔を短くし、韓国で実装されたコンテンツを海外でもすぐに楽しめるように頑張りたいと思います。

――もちろん、筋肉にはこだわるということですね?

イム氏:武器に似合う筋肉にはこだわっていきたいですね。ただ今後違った魅力のキャラクターも登場する予定ですので筋肉が少ないキャラクターがいてもいいかな、と思っています。

石川氏:今遊んでいただいているお客様に向けて、まずは運営チームが「変わった」と少しでも感じてもらえるように、コミュニケーションやオフラインでの交流も考えていきたいと思っています。これから遊ぼうと考えているお客様に対しては、ネクソンのタイトルの中でも異色であることをアピールしていきます。今後もさまざまなコンテンツを実装予定ですので、敏感にその魅力を感じていただけると嬉しいです。私も近い将来GMとしてみなさんとゲーム内でお会いできるかもしれません。

――ありがとうございました。

マビノギ英雄伝サービス終了

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