ナインテイルオンライン基本はしっかりした良作。世界観が受け入れられるかどうか

「精霊物語外伝」の名前が示す通り、「グランドファンタジア（以下GF）」の亜流とも言うべきゲーム。
「アジアンファンタジー」はいわゆる「中華風ファンタジー」のことであり、世界観的にはいわゆる武侠系に近い。

　一部のプロモーションを見ると「かわいい」をウリの一部にしている様子もあるが、かわいいのは「フルル」と呼ばれるキツネの精霊くらいで、敵キャラなどは序盤からリアルな虫や蛇などの「かわいい」とはおよそ正反対なデザインのものが目立つ。

　基本的なシステムはGFに近く、数々の便利機能やプレイアビリティの高さはそのまま受け継がれている。
「未受諾クエストも確認できる」など、最近のゲームに見られるような機能も追加されており、かなり遊びやすい部類と言えるだろう。

　特徴的なシステムとしては、やはり先述の「フルル」である。
　このキツネの精霊はGFの精霊「ミグル」と似ているが、レベルは種族ごとに固定で、育てる必要はなくなっている。
　GFでかなりの負担になっていた「ミグルの育成」が必要なくなり、プレイのストレスが大きく軽減されてはいるが、反面フルルは外見も能力も全て種族ごとに固定のため、GFの「守護ミグル」のような愛着をもつことは難しくなった。
　なお、フルルの作業スペースとしては「フルルの里」と呼ばれる専用のエリアがPCごとに与えられ、待機中のフルルを眺めたり、フルルが作業している様子を見守ったりすることもできる。
　ちょこちょこ動くフルルと、作業を手伝うちびフルルの動きは本当にかわいらしいのでこれは一見の価値あり。

　戦闘面をみると、わりと敵のザコが密集して配置されている感がある。
　PCの側にもかなり早い段階から範囲攻撃スキルが与えられるため、大量の敵を蹴散らす爽快感が味わえるのはなかなか楽しい。
　また、地味にユニークなシステムとしては「集気スキル」の存在が挙げられる。
　このゲームでは、スキルを使用するために必要なSPが自然回復せず、また回復薬も普通には売られていない（課金やドロップではある）のだが、その代わりに「集気スキル」という「使うたびにSPがたまるスキル」がある。
　GFで言えばSPとオーラゲージを一本化したようなシステムで、戦闘ではこの集気スキルをいかに組み込んでいくかが重要となる。
　特にPTプレイ時の回復担当のSP切れは致命的な事態を引き起こしかねないので、SPの管理にはいくらか慣れとコツがいるだろう。

　また、インスタンスダンジョンはGFにもあった5人・10人に加え2人Dがあり、最高難易度の10人D、本格的なPT戦ができる5人D、ソロもそう難しくないあっさりめの2人Dといろいろな楽しみ方ができる。

　正式サービス後の課金アイテム等もほぼGFに近く、長所・短所もほぼ共通。
　インベントリ増加のリュックが買い切り型なのは好印象だが、GF最大の問題である「魔法錬金」に当たる「魔法調合」が実装されてしまったため、後々GFと全く同じ問題が発生するのは想像に難くない。
　なお、GFでは魔法錬金粘土でしか入手できなかった「成長装備」がこちらでは一部固定価格で売られているが、これは(比較的レベルアップの早い)序盤でしか使えないものであり、本格的に装備が必要な中級以降のものはやはりGF同様「魔法調合」に頼る形になる。

　イベントについては、主に週末もしくは平日のログインイベントが多めだが、それ以外の小規模イベントもときどき行われている。
　正式サービス後初の季節イベントとなるクリスマスイベントはなかなか手が込んでいるため、それを評価して4に上方修正。
　
　ともあれ、世界観などが受け入れられるのであれば、十分試してみる価値はあるゲームといえる。
　基本システムがGFに近い以上、やはりゲーム自体の特徴もそれに近いところに落ち着いていくと思われるので、「PvP好き・MMO上級者・やり込み派・がっつりプレイ派」よりも「PvPにこだわりなし・MMO初心者・まったりのんびりプレイ派」に向くのではないかと思われる。