鬼斬万事において薄っぺらい

【概要】
TERAやEclipse of EDENなどに連なる，いわゆる
「ノンターゲット」タイプのMMORPGです．
このタイプのMMOは他の方式と比べアクション性が高い傾向があり
本作も同様にMMOとしてはアクション的な要素を重視した作りになっています．

【良い点】

○職業概念の薄さからくる自由度の高さ
ゲーム中の武器はどれであっても装備，使うことができます．
(もちろん，威力などは各ステータスに依存しますが．)
一通り使ってみて，使いやすいと思ったものを使うといいでしょう．
また，武器自体も4種類を一度に装備できるので
雑魚用，ボス用，PT用など，状況にあった武器を逐次選択して戦えます．

○アバターと防具が分かれている
本作では，防御力などは「勾玉」というアクセサリで上げる仕様になっており
鎧や兜などは見た目を変更するアイテムとして機能しています．

【悪い点】

○運営の開発力の低さから垣間見える重課金システム
日本にまだMMORPGというものがそれほど入ってきていなかった時代，
MMOというのは接続するのがまず一苦労でした．
韓国にサーバーがあった時代のROを経験した人ならば
「ログインに成功するのがゲーム，それ以降はボーナスステージ」
「街に入るとゲームが落ちるので，入口に人垣を作って注意を促す」
等といったフレーズにある種の懐かしさを覚える人もいるのではないでしょうか？

MMORPG黎明期の苦労話ならともかく，本作も全く同様の状況です．
いったい，ほかのゲームの何を見てきたのでしょうか？
ログインできないのは当たり前，エリアを変えると落ちる，
チャンネルを変えると落ちる．しかもメンテは時間通りに終わらず
1時間2時間の延長は当たり前．
12/12に正式サービス開始予定だそうですが，何かの冗談にしか思えません．

こんな体たらくの運営ですから，当然新要素・新マップの実装は非常にコストがかかるでしょう．
となれば，低コストで収益を上げる方法はただ一つ．
「課金アイテムをガチャにして，それがないとまともにゲームを進められない状況にする．」
このゲームを本気で遊ぼうと思っているのであれば，今のうちに貯金を下ろすべきかもしれません．

○薄っぺらいストーリーに世界観

「巨大な怪物に襲われる女の子を助けたら，
実はその女の子はやんごとなき身分のお姫様で，
何故か妙に懐かれ旅についてくる．」

これはストーリーの冒頭ですがとりあえず何番煎じかわからないほど使い古された
「ボーイミーツガール」ものです．
王道というのは誰にもわかりやすく受け入れやすいから王道であるのであって
それを否定する気は全くありません．ただ，このゲームの場合明らかに
「とりあえずプレイヤーを慕う女の子を沢山出しておけば食いつくでしょ」
と言わんばかりのやっつけ仕事にしか思えない．

これはゲームデザインにも表れており，
やたら近代的建築様式のビルや電器屋と思しきNPCが存在しているのに
銃すらなくプレイヤーは剣だの槍だの弓だのを使って戦い
回復アイテムはどう考えても保存食に向かない「握り寿司」．
街には「フレッシュネスオニギリ」などのパロディが存在し
(おそらくハンバーガーチェーンのフレッシュネスバーガー)
アイテムの説明欄には顔文字が必ず挿入されている．

何かのコラボレーション企画ならともかく，
とりあえず「オタク」っぽい人にウケそうだと思ったものを
整合性も考えず適当に切り貼りしておけばいいでしょ．
というデザイナーの考えが透けて見えるようです．

【総評】

いわゆる韓国産の量産MMOは
「取り立ててバグも不具合もないが，世界観にもシステムにも魅力がない」
と言えるでしょう．それに対し本作は現状において
「(サービスイン直前だというのに)バグも不具合も満載．
世界観もシステムも薄っぺらくて魅力がない」
作品だと評さざるを得ません．