より戦闘が楽しく、“TWらしい”遊びが追求できるように―「テイルズウィーバー」冬の大型アップデートと今後の展望についても聞けた開発者インタビュー

ネクソンがサービス中のMMORPG「テイルズウィーバー」。新ダンジョン「アバンドンロード」の実装を含む冬の大型アップデートや今後の展望について、10年以上の長期運営を実現している開発陣にインタビューを実施した。

2004年のサービス開始以降、多くのユーザーに親しまれ、愛され続けている「テイルズウィーバー」。

2016年7月27日には、ダメージ上限を撤廃し、より爽快に、そしてより強大な敵と戦えるようになった「極限システム」が実装。さらに今年冬には大型アップデートの実装が予定されており、ゲーム内通貨である“Seed”が手に入る新機軸のダンジョン「アバンドンロード」の追加が予定されている。

また、2017年にはクラブ単位での遊びとなるダンジョン争奪戦が追加。さらに、 装備強化システムのリニューアルも実施される。

今回は、これらのアップデート内容について、「テイルズウィーバー」開発チームである、ライブ開発本部 開発室 室長・ジャン ギョンハン氏と、同開発室 企画パートメンバー・ブ ソンウク氏、キム スングク氏に話を伺った。

さらに、“より戦闘が楽しく”をテーマとしたキャラクターバランシングの実施などを含む、2017年以降の展望についても聞くことができた。既存プレイヤーはもちろん、今から本作を始めようと考えている人にも有用な話をたくさん語ってくれたので、ぜひ一度目を通してみてほしい。

左から、ジャン ギョンハン氏、ブ ソンウク氏、キム スングク氏
さまざまな資料や絵コンテなどを見ながらインタビューが行えた。

“Seed”の価値をより高める新ダンジョン「アバンドンロード」

――今年は「極限システム」の実装など、ゲームシステムに大きな変化があった年でもあったと思います。今年あった出来事の中でも、特に苦労した思い出などはありますか?

ジャン氏:今年苦労したことと言うと、やはり来年に向けた施策の考案ですね。「今年はこういうことをやった(やれた)。なら、来年はどういったことができるか」というのを、開発室のメンバー全員から意見をまとめたり、あとはユーザーの動向を確認しながらロードマップを作成するのが大変でした。この作業は何ヶ月にもおよんでいたので、特に記憶に残っています。

――やはり、来年やその先のことを見据えていろいろな計画が立てられているのですね。コンテンツの制作には、どのくらいの期間を要するものなのでしょうか。

ジャン氏:コンテンツ毎に異なりますが、イベント系ですと大体二ヶ月くらい、大型のアップデートとなると半年ほどの時間が必要になります。

――逆に、今年良かった・嬉しかった出来事を教えてください。

ブ氏:「テイルズウィーバー」は今年、ダメージ上限を撤廃する「極限システム」を実装しました。好意的な意見はもちろんそうでない反応も含めて、これによってユーザー間のコミュニティが活発になったのは、私たちにとっても嬉しいことでした。

――「テイルズウィーバー」といえば、日本のアニメ作品とのタイアップが頻繁に行われています。直近で実施された「Re:ゼロから始める異世界生活」など、話題性の高い人気作品とよくタイアップされているように思うのですが、何か意図はあるのでしょうか。

ジャン氏:タイアップ作品については、日本の運用チームが選定しています。「テイルズウィーバー」は2Dグラフィックのかわいいキャラクターが特徴であり、ユーザーもそういった部分が好きでプレイされている方が多くいます。なので、キャラクターが可愛く魔法などがあり、「テイルズウィーバー」の世界観と合うような作品を選んでタイアップさせていただいています。

――特にライトノベル原作などに狙い撃ちしているわけではないのですね。

ジャン氏:最近だと話題性があり、人気な作品となるとやはりライトノベル原作が多くなりますが、特にそういう風に決めてタイアップしているわけではありません。基準としては、あまり現代を舞台にしすぎた作品でないこと、しっかりとファンタジー要素があることなどが重要となっています。

――なるほど。やはり世界観が似ていることがポイントになるんですね。

ジャン氏:「テイルズウィーバー」に登場させた時、違和感がありすぎては困りますから、その点を重視した選定になっていると思います。

11月24日より開催された「Re:ゼロから始める異世界生活」とのタイアップ。
原作キャラの可愛いビジュアルがしっかりと再現されていた。

――では、続いて冬のアップデートについてお話をお聞かせください。まずは、新ダンジョン「アバンドンロード」のコンセプトを教えてください。

キム氏:「アバンドンロード」は古代文明の遺物で、何かしらの場所へと行くための通路として作られた、という設定になっています。それが「必滅の地」にて冒険者たちの手によって発見され、本アップデートから内部に潜入できるようになります。

ジャン氏:企画コンセプトとしては、「テイルズウィーバー」でこれまで実装されてきたダンジョンの中で初めてゲーム内通貨である“Seed”が獲得できるダンジョンになっています。従来のダンジョンはレアドロップを狙い、それを通貨に換えていたと思います。しかし本ダンジョンでは、ユーザーのやり方次第で多くの通貨が手に入れられるようになっています。

――報酬である“Seed”が直接手に入るわけではなく、それに交換できるようなトークンが手に入るということでしょうか?

キム氏:そうですね。ただ、トークンというと、例えば“1トークン=100Seed”というように決まった数量をイメージする人もいると思います。詳細については実際に遊んでみて確認してもらいたいのですが、「アバンドンロード」で手に入るアイテムはそういう制限がないということだけお伝えしておきます。

――「アバンドンロード」は古代文明に関わるダンジョンということですが、その背景や設定を楽しめるようなストーリーは用意されていますか?

キム氏:詳細なストーリーはメインストーリーに影響を与える事があるため、まだ明かす事はできませんが、単純にダンジョンを楽しめるようになっています。

――資料にもありましたが、ボスモンスターのビジュアルが気になります。二つのモンスターが融合しているような奇妙な姿をしていますが、これにはどういった理由があるのでしょうか。

キム氏:「アバンドンロード」では古代人たちがモンスターを利用し、さまざまな実験を行ってきました。このボスモンスターも、その成果物の一つということになります。

――今後、実装予定の新しいクラブ単位での遊びとして「ダンジョン争奪戦」とのことですが、こちらはどういった内容になっているのでしょうか。

キム氏:「ダンジョン争奪戦」は専用のダンジョンを使った遊びになっています。無限に続いているダンジョンでどこまで進行できるか、という内容となっており、より深く進行できたクラブがそのダンジョンを占領することができます。

――クラブ単位の遊びというと、これまでは攻撃側と防御側に分かれて戦う「要塞戦」がありました。「ダンジョン争奪戦」では、「要塞戦」のように直接相手のクラブを邪魔したり、干渉するような要素は取り入れられていますか?

キム氏:決まった時間に開催されるのは「要塞戦」と同様なのですが、相手に直接干渉するような要素はなく、純粋なタイムアタックのような遊びになっています。「ダンジョン争奪戦」だけの要素としては、パズルのように少し頭を使わなければいけないものや、運的な要素などが盛り込まれています。

――こちらの報酬はどのようなものになっていますか。

キム氏:ステータスの付いた装備品としてマントが用意されているほか、ダンジョンを占領している間は既存のものよりもより高いクラブ効果が発揮されるようになります。また、入場料としてSeedが必要になるのですが、このSeedは徐々に蓄積されていき、ダンジョンを占領したクラブにその一部が支払われるようになっています。

――お話を伺っていると、今回はSeedに重きを置いた内容になっているように思えます。。報酬などにSeedを入れた意図はどういったことがあるのでしょうか。

ジャン氏:Seedは「テイルズウィーバー」において基本通貨となっているのですが、その使い道に不透明な部分が多く、またユーザーが獲得できる場面があまりありませんでした。なので、今後はよりSeedを活用できる場面を増やそうと考えています。たとえば、装備強化システムにも変更が加えられる予定で、強化にSeedが使用されるようになります。こうした変更の前に、一旦ユーザーにSeedをしっかりと獲得できるコンテンツを提供しなければいけないと考えたので、今回はさまざまなコンテンツの報酬にSeedを入れてあります。

ブ氏:Seedそのものを補給できる場所が今までになかったのと、基本的にレアドロップでの入手だったので一部のユーザーにしか手に入りづらかったのが現状でした。今回のアップデートではそこにテコ入れをするといった感じで、より多くのユーザーがSeedを獲得できる機会を増やしたいという狙いがあります。

2017年は、より戦闘が楽しくなるような調整を

――今後のアップデートから、よりSeedの重要性が高まってきそうですね。

ジャン氏:今回のコンセプトのようなダンジョンは私たちも初めての試みとなるので、これを導入したことによってSeedの価値がどう変動するのかはまだ分かりません。ただ、今後Seedの使い道が増えることで、今回実装される「アバンドンロード」や「ダンジョン争奪戦」の価値はより高まると予想しています。

――今回のようなコンセプトのようなコンテンツは、今後も実装していく予定はありますか?

ジャン氏:今のところは、12月に実装を予定している「アバンドンロード」と、2017年に実装予定の「ダンジョン争奪戦」のみです。まずは実装してからユーザーの反応を見てからですね。「ダンジョン争奪戦」に追加要素やコンテンツを加えたりといったことも考えてはいますが、まだ検討中です。

ブ氏:「アバンドンロード」は260レベル以上のユーザーなら誰でも挑戦できるようになっているのですが、それよりも低いレベルの人など、よりライト層のプレイヤーでもSeedを獲得できるような施策についても現在検討中です。単純にダンジョンだけでなく、特定のコンテンツの報酬として追加するか、はたまた既存のコンテンツにSeedを追加するか……というような感じですね。

――今後Seedがより入手しやすくなるとのことですが、新しいSeedの使い道というのは何か具体的に決まっていますか?

ジャン氏:現段階では先ほどもお話しした通り、装備強化に使用することのみになっています。ただ、開発の方向性として、今後はゲームをより楽しめるようにSeedを活用してきたいと考えておりますので、これから徐々に増やしていくつもりです。

リニューアルされる装備強化システムのUI

――現段階で、2017年以降どのようなアップデートや調整が想定されていますか?

ジャン氏:2017年はより戦闘が楽しくなるように、キャラクターバランシングも想定しています。また、これに合わせて既存のダンジョンの調整も実施する予定です。時期は秋頃を目途にしていますが、かなり大掛かりな作業になるので、正確な日程などはまだ明言できません。

ブ氏:各々キャラクターの個性が強く出ているのは「テイルズウィーバー」の魅力でもあると共に、同時にそのせいでコンテンツによって格差が大きいというのも、開発側として認知しています。調整の必要性があると考え、その想定もしっかりとしているので、ユーザーの皆さんには今しばらくお待ちいただければと思います。

――すでに今後の大型アップデートの見通しが立っているんですね。

ジャン氏:ユーザーからのフィードバックは常に開発側も目を通しております。その中でも戦闘が味気ないといった意見が多くあるのは私たちも認識していますし、課題にもなっていたので、これを解決するにはキャラクターバランシングの実施が必要であると感じています。

――最後に、ユーザーに向けて一言お願いいたします。

ジャン氏:開発では、ユーザーからの意見だけでなく、実際にゲームをプレイして感じたことなどもフィードバックしています。基本的なことなのですが、やはりゲームはプレイしていて楽しくなくてはいけないと思っていますし、その目標のために内部でも日々討論を繰り返しています。ただ、それらの実現には長期的な目で見て調整を繰り返す必要があります。

ユーザーの皆さんには、その過程でさまざまな不便をおかけすることもあると思いますが、それらの期間を過ぎた先には、これまで以上にいろいろなキャラクターを育てたいと思えるような楽しさを提供できると確信しています。皆さんからの期待も大きいキャラクターバランシングについても、しっかりとバランスの取れた調整ができるように現在も意見を交換し合っています。ですから、今後もどんな些細なことでもいいので、より多くの声を訊かせていただければ幸いです。

――ありがとうございました。

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