現行版「ファイナルファンタジーXIV」がワールドダウンを迎えた心境、そしてこれからの展開は―プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏に話を聞いた

スクウェア・エニックスは、11月11日に「ファイナルファンタジーXIV」の全ワールドダウンを実施した。今後は、αテストなどを経て「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」へと移行していくが、そのαテストの手応えなどについて、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏にインタビューを行った。

「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」(以下、「新生FFXIV」)は、11月11日までサービスが続けられてきた「ファイナルファンタジーXIV」(ワールドダウンを迎えたが、以下は便宜上「現行版」と表記)のゲーム仕様や根幹システム、ゲームデザインなどを一新して開発されているMMORPG。

現在「新生FFXIV」のαテストが実施されているほか、ワールドダウンの2時間後には吉田氏自らが出演するプロデューサーレターLIVEの放送でさまざまな新情報が発表されるなど、大きな動きを見せている。

そこで今回、αテストの感触やLIVE放送で発表された内容についての話を伺ってきたので、その内容をお届けする。

ワールドダウンからLIVE放送終了まで、その心境は

――11月11日に現行版の全ワールドダウンが行われましたが、今の心境をお聞かせください。

吉田直樹氏
吉田直樹氏

吉田氏:いろんな感情がありますが、僕個人としては、ホッとしている気持ちが一番大きいです。きちんと決断して引き受けたことではありますが、やっぱりリリース後のプロジェクトを、しかも「ファイナルファンタジー」のナンバリングタイトルとして途中から背負い、その中で現行版のアップデートでほぼゲームを作り変え、全く新規の「新生FFXIV」を作る計画を発案、並行して開発を進めるというのは本当に大変でした。物凄くプレッシャーもありましたし、コミュニティを大切にしているからこそお客様の一言がとても気になりましたので。

これまでの体制を引き受けて「新生FFXIV」に繋ぐため、世界を一回壊すというプロットも自分の責任で書きました。ダラガブを早めに出していたのも意図的にやっていて、「隕石が落ちるんだ」という雰囲気にしておきながら、実はバハムートが…という展開も、ようやくやりきった感じです。まずはひとつめの、世界がこれから生まれ変わるという物語の半分を完結させたかなというイメージなので、プロデューサーレターLIVEが終わった瞬間、やはりホッとしたというのが、正直な気持ちではありますね。

――ワールドダウンからLIVE放送までの間も緊張やプレッシャーがあったのでしょうか?

吉田氏:そうですね。最終決戦のイベントも、前週までのデータを全部取ったうえでサーバーがどこまで耐えられるかも計算していて、サーバーチームも運営チームもグローバル全員が万全の体制でしたが、それでもログインできなかった方々には申し訳ないと思っています。ただ、できるだけ多くのコミュニティの人たちと再会して、あのトレーラーを最後にみなさんで同時に見てほしかったというのが強いです。

トレーラー内ではバハムート登場のシーンなどが描かれている。

LIVE放送についても、「新生FFXIV」のスケジュールの決意などを話さなくてはいけないと思っていました。それにαテストがすでに始まっていますし、βテストに向けても当然動いています。最近は頭がパンクしそうなほど考えることが多く、実はプロデューサーレターLIVEも始まってみないと、まともに喋れるかどうか分からないぐらい、今回は本当に余裕がありませんでした。

――最終決戦で全アカウントを一時的に解放しましたが、どれくらいのユーザーが集まったんでしょうか?

吉田氏:正確な数字はまだ追っていませんが、課金していたピーク時を超えるぐらい、かなりのユーザーさんにログインしていただきました。約三日間ですが、現行版のプレイを止めていた方にも触ってもらえたのは大きかったと思います。

――公式フォーラムではエオルゼアメモリーズを開催していますが、吉田さんの中で一番の思い出は何でしょうか?

吉田氏:僕はこの仕事を引き受けて、初めて「ファイナルファンタジー」という作品に開発者として関わりました。その活動の中で、日本だけでなく世界中の「ファイナルファンタジー」ファンの皆さんと直接お話しできたのが一番嬉しかったですね。僕ら開発者ってやっぱり慣れがあるので、「ファイナルファンタジー」というタイトルの立ち位置や、ファンの想いというものに対して、想像がつかなくなっていると思います。

ですので、直に接したときの反応と言いますか、イベントで握手させてもらったら泣き出す海外の方もいたりして、25年続いてきた「ファナルファンタジー」がすごい作品であること、その作品を自分が背負っていることを物凄く実感できました。それはこの仕事をしてないと分からないですし、すごく嬉しかったところですね。フォーラムを含め、そういったコミュニケーションで頑張ろうという気になれました。普通に生きていたら「Your are my hero!」なんて言ってもらえないですからね。

αテストは非常に順調、βテストでは安定性がさらに一段アップ

――αテスト開始当初は人が集まると重くなっていましたが、LIVE放送段階ではかなり改善されている印象がありました。負荷試験の結果や、改善の手応えはいかがでしょうか?

吉田氏:αテスター専用のフォーラムではすでに書きましたが、もともとワールドの同接(同時接続者数)は5000人で計算しており、ひとつのゾーンに1000人まで入れるようにし、そこでゲームがプレイできないようなクリティカルなラグが発生しないことを目標にしていました。1000人を超えるプレイヤーがゾーンに入ろうとした場合に関しては、そのケースが少ないのであれば「このゾーンは人がいっぱいなので入れません」といったアナウンスを出して制限する方法になると思いますし、それともゲームの導線上、そういった事態が何度もありうるのであればゾーンごとインスタンス、例えば森のA、森のBといったようにして負荷分散する方法を採用しますし、どちらを取るかというテストでもあります。

αテスト開始時点では、まずボトルネックが見えたのはプレイヤー数が650人弱、バトルが200ほど発生していて、NPCも全部入っている状態のときでした。ここは原因を探ったらサーバー周りに単純なバグが見つかったので、すぐに修正しました。そういった作業を2日ほど行ったところ、プレイヤー数が800人ぐらいまでは耐えられるようになり、現状では単純なクリティカルなバグは0になっています。

あとはソースコードの改善ですね。例えば「ここのループが一回多い」といったように、バトルのソースコードが重いと、バトルの同時発生数が増えれば増えるほど余計な処理が必要になるので重くなってしまいます。そのため、例えばバトルプログラムをソースコードから見直してリファクタリング(整理)したり、バトルに限らず重くなるソースのリストアップができたので、それを順次やっています。これがサーバーにとって一番大事ですし、メモリ破壊もなくなっていきます。

※画像は8月に公開されたαテスト開始以前のバトルシーン。

これはクリティカルなバグとは異なり、1日や数時間で直せるものではないので、今からαテストの終盤にかけて修正していき、βテストで反映させるといったイメージです。そうするとβテストでは安定性がさらに一段上げられますし、今のところ手応えとしては非常に順調です。

――LIVE放送ではβテストを1月下旬から2月上旬ごろと発表されていましたが、αテストはいつ頃まで実施されるのでしょうか?

吉田氏:12月の2週目ぐらいまでを予定しています。実は負荷試験だけを考えるとデータは十分に取れていて、いただいたフィードバックの多くはβテストレベルの内容になっています。後は海外からの接続に対してどれくらいのパフォーマンスが発揮できるのかというのと、長期間サーバーを稼働させてメモリがクラッシュしないかといったエージングテストですね。そのフェイズ3、フェイズ4のテストを実施して終了するという感じです。

それから、今回の現行版クローズとβテストまでの時期を考えて、できるだけ多くの方にαテストに触っていただこうと思っています。本来、一般的なαテストというのは遊べる範囲が狭いので、初期のログイン率が全αアカウントの40%ぐらいで、そこから徐々に20%ぐらいまで下がっていくものです。ところが、「新生FFXIV」は今もαテスターの方々のログイン率が高く、常に60%をキープしていて、2ワールドでアカウントを追加配布しても破綻してしまうので、いっそ5ワールドぐらい用意して、ストレステストという名の“みんなで序盤を触ってみよう”みたいにしてみようかなという感じです。

開発スタッフに「プレイする人が減らないのは吉田さんがログインするからだよ!」と言われたりもしているのですが(笑)、プレイヤーのみなさんとお話をするのは楽しいですし、参考にもなりますから。

――αテストはサーバー負荷試験が目的でしたが、ゲーム的な部分での感想はありましたか?

吉田氏:負荷試験だと思ってくれていないのかなというぐらいいただいています(笑)。ただ「普通にプレイしてしまった」とか「早くβテストやってほしい」というご意見をたくさんいただけたのは嬉しかったですね。先ほどもお話ししたように、いただいたフィードバックの多くはβテストレベルの内容だったので、βテストまでに、そしてβテスト期間中にほとんど修正できるかなと思っています。

また、なるほど!と思ったフィードバックに「後退したときにキャラクターが振り向いてダッシュしてくれない」という意見がありました。ここは「新生FFXIV」ではプレイヤースキルの範疇にしようと思っていたのですが、現行版やゲームパッドに慣れていると、やはり標準で存在させるべきなんだなあ、と。日本では「ファイナルファンタジーXI」が作ってきたMMO文化がスタンダードなので、その辺りはもう一段意識を高くして考えていこうと開発と再認識させていただいています。

ほかにも、スキルのクールダウンタイム(待機時間)がすべて共通の「グローバルクールダウンシステム」を採用しているので、一度スキルを使い終わってからほんの数秒間スキルが発動できない時間(クールダウンタイムそのものは3秒間)がストレスだという意見もありました。それはスキルのアニメーションを長くすればストレスを緩和できますし、実際現行版は3秒が目じゃないぐらい長い。クールダウンタイムは、成長と共に短くなる設定なので、ゲーム序盤をこれ以上短くするのは本末転倒です。しかし、アニメーションを長くしてしまえば、結果的にバトル自体のテンポが悪くなってしまいますので、そういったところは、落とし所はどこだろうなと冷静に見るようにしています。

LIVE放送では新情報も多数公開、その詳細や今後の展開は

――LIVE放送ではクァールに乗れるとありましたが、チョコボとの差別化などはあるのでしょうか?

一緒に戦えるチョコボには装備も用意されている。
一緒に戦えるチョコボには装備も用意されている。

吉田氏:チョコボとはバディ(相棒)として一緒に戦うことができ、クァールはそれができません。チョコボは装備が変えられますが、クァールにはそれがない。ある意味チョコボが特別なのであって、クァールが一般的な「マウント」ということになりますね。「新生FFXIV」では現行版と比べてプレイヤーの移動速度を1.2倍ぐらいにしてあり、なおかつ一時的に移動速度を上げる「スプリント」というスキルがあるので、αテストではチョコボが遅く感じてしまうと思います。

ただ、実はマウント(乗り物)そのものにライセンスという概念を入れて、もう一段ギアが上がって早くなるようにしたいと考えています。それがチョコボやクァール含めて全マウントに適用されるので、そういった意味でのマウント間の移動に関する差はありません。今回クァールのマウントを公開しましたが、今後はクァール以外もたくさんマウントを出していきますよ。

――それは単純なマウントとしてバリエーションを豊かにするという方向ですか?

吉田氏:そうです。いろんなものに乗れるようにしていく予定です。

――初期選択のクラスによって開始の都市が固定されますが、フリーカンパニーは自由に組めるとありました。改めて開始都市が決まることで制限されることと、固定されても平気な要素を教えていただけますか。

吉田氏:まず現行版だと、どのクラスを選んでもどの都市からでも始められますが、仮にギャザラー系を選んだ場合、強制的に発生するバトルのチュートリアルでは石を投げるしかない。さすがにこれはないだろうと思いました。好きなクラスで開始できるわりに、なぜギャザラーでバトルをさせられるのだろうと。

もう一つ問題なのが、剣術士でグリダニアからスタートした場合、グリダニアに剣術士ギルドがないのです。ですので剣術の基礎が学べないですし、じゃあウルダハに行けばいいかと言えば、そもそも剣術士ギルドがウルダハにあると知るのは、実際に行ってみてからになってしまいます。

これでは、ゲーム開始時の導線が作れないため、開始する都市と、その先でプレイすることになるクラスを合致した状態で伝えてスタートしてもらうことで、チュートリアルをキッチリ作れるようになります。そこが狙いなので、確かに自由度という意味では制限されると思いますが、とても自然に遊べるようになっています。

槍術士や弓術士で始めた場合はグリダニアからのスタートとなる。
※画像は10月のインタビューで公開されたαテスト以前のもの。

開始都市とクラスが固定され、導線がはっきり設定されることにより、序盤に「何をしてもいい」というような、自由度はある程度制限されます。ただ、αテストでは採集と討伐の手帳がありますが、βテストではもうひとつバトル向けの「討伐手帳」というものが加わり、こからも経験値のリワードが手に入りますし、クエストやリーヴ、手帳の内容を達成してもいいですし、コンテンツファインダーでダンジョンに行ったり、ビヘストに参加したり、LIVE放送で出したFull Active Time Event(FATE)に参加したりと、どれをとってもサクサクレベルが上がるので、自由度が下がって困るかと言えば、そんなことはないと思っています。

――では開始の際、自由に都市が選べないだけで、将来的なコンテンツには支障がないと。

吉田氏:はい。αテストでは入れていませんが、他都市へ行く導線も用意しています。例えばグリダニアで始めれば飛空艇に乗ってウルダハやリムサ・ロミンサへ行き、何かを達成して帰るというクエストが入りますので、そこから三都市交流も始まります。そのクエストでウルダハに行ったら、そのままウルダハのクエストを受けてみるのもいいですし、さらにリムサ・ロミンサまで行ってみてもいいですし、そこはプレイヤーの皆さんの自由です。一度ほかの都市に行ってエーテライトを触ってしまえば、あとはテレポで移動できるようになりますので。

――現行版のデータを引き継いだ場合と、新規でキャラクターを作って始めた場合、スタートは異なるのでしょうか?

吉田氏:場所は異なりますね。「時代の終焉」トレーラー後のエピソードがあり、「新生FFXIV」のオープニングにその場所が出てきますので、いわゆるレガシーなキャラクターがスタートする場所は、「新生FFXIV」でイチからキャラクタークリエイションしてスタートする場所とは違うところになっています。ストーリーの破たんがないようにしていますし、結局メインストーリーもほぼ全部作り直してしまったので、分かりやすくなった内容をもう一度プレイしていただけたらなと思います。

――では引き継いだキャラクターで始めた場合でも、新規と同じように全てのクエストなどは受けられるのでしょうか?

吉田氏:ごく序盤の一部だけ、矛盾が出る部分以外は受けられるようになりそうです。「強くてニューゲーム」だと思っていただければ大丈夫かなと。

――ワールドを超えてプレイヤー同士をマッチングさせるコンテンツファインダーといった要素がありますが、既存プレイヤーと新規プレイヤーが一緒に遊ぶための仕組みは何かあるのでしょうか?

吉田氏:基本はレベルシンクという、キャラクターのレベルをそのコンテンツに応じてシステムで自動調整する機能が働いていますので、レベル上限が20のダンジョンへ行く場合、レベル15と50のプレイヤーでも同じようにマッチングします。これが一緒に遊ぶための要素として意識しているかは別問題ですが、同じようにコンテンツに対してリクエストを出せばマッチングされる可能性は高いですね。気になさらなくて大丈夫かなと。

――新規プレイヤーが既存プレイヤーに追い付くための要素は考えているのでしょうか?

吉田氏:それは考えていないです。バランスが破綻します。「新生FFXIV」では当然新規のサーバーも立てますし、「新生FFXIV」からプレイされる方は、大多数がそちらを選択すると思いますので。

――現行版をプレイしていない人は専門用語やストーリーなど分かりづらいと思いますが、そのサポートはいかがでしょうか?

吉田氏:全員が新規のお客様だと思ってゲームを作っていますので、何も気にしなくて大丈夫だと思います。αテストでも全部そうしていますし、ゲームパッドモード用の「How To」も用意していますので、ひとつひとつ、全プレイヤーへ丁寧に伝えるようにしています。

――巴術士は複数タイプのカーバンクルを使い分けるといった新クラスの情報もありましたが、巴術士と召喚士、改めて実装時期はいつ頃になりそうでしょうか?

吉田氏:巴術士はサービスイン(正式サービス)時からで、今の雰囲気を見ていると召喚士も間に合いそうかな、と。ただ、確定と言ってしまうとバトルチームから非常に怒られてしまうので、頑張ります、ということにさせてください(笑)。

巴術士(左)と召喚士(右)のイラスト。

――結婚システムの話も出ていましたが、結婚することで得られるメリットなどはあるのでしょうか?

結婚は大聖堂にて行われるという。
結婚は大聖堂にて行われるという。

吉田氏:まず結婚するためには、二人で指輪がもらえるクエストをクリアするといったことをイメージしています。そこで指輪を交換するエピソードに繋がっていき、クエストクリアでもらったリングを持っていくと結婚できる、といったイメージです。

結婚してボーナスがあると、皆さんあえてボーナスのために結婚してしまいそうですし、それは不毛だと思うので、あまりメリットはないですね。単純にマリッジリング(指輪)が装備できるようになるだけですね。あくまでロールプレイの一環ですので。

――βテストではどれくらいのコンテンツを実装する予定なのでしょうか?

吉田氏:そこはまだ公開できないのですが、物語の核心に迫るようなものは一切出さないつもりです。

――ではシステム面で拡充させていくような感じでしょうか?

吉田氏:そうですね。あとUI周りやゲームパッドモードなどです。

――前回インタビューさせていただいた際、動画と共に公開したいとお話しされていたFATEシステムも先んじてスクリーンショットと概要を発表していましたが、何か理由があるのでしょうか?

吉田氏:テキストのプロデューサーレターで出したスクリーンショットがすごく好評だったので、キーワードだけはお話ししようと考えました。改めて説明すると、このFATEは、「この地域にNM(ノートリアスモンスター)が出現したので皆さんで倒してください」といった警告がゾーン全体に発せられて、ワーッと皆で集まり、NMを倒したらすぐ解散!その後またクエストに戻って、またFATEが発生したら集まって……。というイメージです。すごくカジュアルで、ライブ感だったり、アクティブ感のあるもの。NMのほかにも、例えば拠点に盗賊が襲い掛かってきているので撃破してくださいといったものもあります。

――それがハムレット防衛にも関わってくるんですね。

ハムレットのひとつ、ハーストミル。
ハムレットのひとつ、ハーストミル。

吉田氏:そうですね。それらが全部FATEというシステムで包括されます。イベントの近くにいると自動的に全員がグループとみなされるので、いきなり敵を殴り始めてOKです。パーティに入るとか、誰かに誘ってもらうのを待つといったことも必要ありません。いきなり殴りかかったり、近くの人を回復したりするだけでも大丈夫です。

――報酬の分配はどうなるのでしょうか?

吉田氏:個人単位です。参加した全員に対して、ひとりひとりにシステム側が分配するので、取り合いも発生しません。後腐れなく、カジュアルに遊べるようにしています。ただ、何もしていないキャラクターはちゃんとシステムで見ていますが(笑)。

――クリスタルタワーに続き、エンドコンテンツとして大迷宮バハムートも発表されました。これも実装はサービスインのタイミングでしょうか?

吉田氏:そうなります。クリスタルタワーは3アライアンス(最大24人)で挑戦可能ですが、大迷宮バハムートは1パーティ(8人)のみです。最上級の腕と装備を持つ8人でなくてはクリアできないというコンテンツであり、クリスタルタワーよりも難易度は上です。

――どちらも一年半ぐらいを通して拡張していくとありましたが、アップデートのような形で追加していくのでしょうか?

吉田氏:ストーリーが追加されて、上がれるフロアが増えたり、迷宮の奥がアンロックされて入れるようになるというイメージです。

――LIVE放送では和田さんが大迷宮バハムートの報酬を見せていましたが、放送中で一番焦った出来事は何でしょうか?

バハムート装備のアートデザイン。
バハムート装備のアートデザイン。

吉田氏:PvPで優勝したチームと座談会や交流会のようなことをしたいと話したときに、「そのアイデアいいね、今実施を決めよう!」と言われたときはびっくりしました(笑)。実はあの時、交流会というよりも、開発者として参加してもらうのもありですねえ、と言おうか迷っていたんです。でも、仕事している人はどうしようと考えて、プレイヤーと意見を直接交換するような形の方がいいかな、と。このプレイヤーが開発に参加していく、というのはMMOの本当に素晴らしい点でもあるので、今後も真面目に考えていきたいと思っています。

今の日本にはグローバルスタンダードなMMORPGプレイヤーが少なすぎるところと、また、そういったプレイヤーがゲーム開発者の中に非常に少ないのは、MMORPGを作っていてネックだなと感じます。このままだと、将来的にオンラインゲームを製作するのが、今以上に大変になってしまいます。ですので、もっと積極的にプレイヤーを開発に取り入れた方がいいのかなと、常々思っていたりするのです。ただ、和田があの話題にのってくるのは完全に想定外でしたね(笑)。

――和田さんはハウジングの写真も次々公開していましたが、家を立てる場所はどうなるのでしょうか?

吉田氏:ハウジング専用のゾーンがあり、最初はそこに土地だけ売られているので、家を立てたければその土地を買って建てるという感じです。Lサイズの家を立てたければLサイズの土地が必要になります。それから引越しをしたい場合は、家を建てる前の状態に戻して、ほかのプレイヤーやシステムに売却してから引っ越すという流れになります。

――土地が売り切れる可能性はあるのでしょうか?

吉田氏:全部インスタンスとなり、ハウジングエリアA、B、C…のように用意していますので、土地問題に困ることはないと思います。いずれ個人で家が持てるようになっても問題ないですね。

――ハウジングは個人とフリーカンパニー単位となっていますが、リンクシェル(LS)はどうなっていくのでしょうか?

吉田氏:本来LSでやりたかった機能をフリーカンパニーに持っていくので、LSはフリーカンパニーにすら縛られない人たちのチャットルームという感覚で使ってもらいたいなと思っています。フリーカンパニーは複数所属できないのですが、同盟を組むことができます。そうすることで、同盟の中にフリーカンパニーが2つ存在する形となり、普段はカジュアルな遊び方をしているフリーカンパニーだけど、エンドコンテンツもプレイしたいという場合は、同盟を組んでいる別フリーカンパニーに、ゲストといった形で参加することもできるようにしています。

――最新の仕様として装備の見た目を保持できるというものがありましたが、ほかにも新しく考えているシステムなどはあるのでしょうか?

ようやく公開できたというバハムート
ようやく公開できたというバハムート

吉田氏:当然計画しないと開発が進められないので考えていますが、新しいものが多すぎて…(笑)。MMOって本当に難しいなと思っているのが、新しい要素などを出しすぎても訳が分からなくなってしまうんです。特に新規のお客様から見ると、「イフリートが出る」「バハムートと戦える」といったキャッチーなことは分かりやすくていいのですが、「レイド」といった言葉を使った瞬間に引いてしまうと思うのです。ですので、情報の出し方には気をつけていきたいと思っているところです。

ただ、MMORPGは、遊びの多さが魅力でもありますし、ネタは山ほどありますので、今後プロデューサーレターLIVEなどで「プレイヤーコミュニティ向けに」喋っていこうかなと思っています。先日のLIVE放送でも「ずいぶん喋りましたね」と言われましたが、自分では、そんなに喋ったかな?と思っていたりします。

――装備のラフ画などをかなり出していましたが、問題ない範囲だったのでしょうか?

吉田氏:あれ以外にもまだ山ほどありますから(笑)。「FFXIV」はMMORPGですし、コンテンツもたくさん作っています。コンテンツドロップのアイテムもたくさん作っていますので、いくらでも出せますよ。開発には怒鳴られそうですが(笑)。

インタビューに合わせてマスクやバハムートの斧など新たな装備のアートデザインも公開となった。

――巴術士の装備となる本も出ていましたが、「ファイナルファンタジー展」のトークショーでお話しされていた本で殴るモーションは順調でしょうか?

吉田氏:それも順調に進んでいますよ。できれば次のプロデューサーレターLIVEでアニメーションをお見せしたいですね。

――ゲーム内以外の展開の話になりますが、ノベライズ化などは考えているのでしょうか?すでに一冊発売されており、「ファイナルファンタジーXI」では多数刊行されていますが。

吉田氏:現時点ではあまり考えていません。というよりも、優先度の問題です。それらに関しては、結局ビジネスになるかどうかだと思いますので、コミュニティ数が増えた段階で検討すべきという考え方です。それが、投資という意味なら今すぐ始めても構わない。仮にノベライズが赤字になったとしても、それを読んでゲームを始めてくれるお客様がいれば、クライアントの購入やプレイ料金をお支払いいただくことで、プロジェクトとしては赤字ではなくなります。

ですが、今ノベライズすることで何か利益が出るかというと、単体では出ないと思うんですよ。そのためご質問に対しては「今はやりません」が答えになってしまいますが、ノベライズそのものをやらないかというと、そんなことはありません。お客様が喜んでくれて、みんながハッピーになること、効果のあることなら何をやってもいいと思っています。今グッズを作っていないのもそれが理由です。

――ではユーザーの反応や要望に応えて動いていくという感じでしょうか。

吉田氏:というよりはお客様も、ビジネスも含めてハッピーになれるかどうか、です。時期が来たら何をやってもいいと思っています。

――PvPでは開発チームでユーザーと対決したいとありましたが、「ファイナルファンタジーXIV」オンリーのオフラインイベントについてはいかがですか?

吉田氏:それはぜひ早めにやりたいですね。できれば「新生FFXIV」が発売して半年ぐらいしたら一回やりたいと考えているくらい。現行版の方にずっと支えていただいていますし、しっかりと「新生FFXIV」で素晴らしいスタートを切って、その報告と合わせて直接お礼が言えるようにしたいですね。

――最後にβテストや今後のサービスへ向けての意気込みをお願いいたします。

吉田氏:プロデューサーレターLIVEの最後にもお話しさせていただきましたが、ついに現行版が終了を迎え、「新生FFXIV」のαテストがスタートしました。クライアントやサーバーの準備はできているので、ここからはグローバルに展開されているMMORPGと勝負して勝ちにいくために、コンテンツやグラフィックを含めて「ファイナルファンタジー」らしさに向けて突っ走っていきます。

βテスト以降はできるだけ多く、それこそ数十万人単位で触っていただけるようにしていきたいと思っています。みんなで作る「ファイナルファンタジー」とまでは言いませんが、皆さんから意見をいただきながらキッチリとβテストを実施し、「もう十分だろう!いい加減発売しろ!」と言われるぐらい作りこんでいきたいと思っていますので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。

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